消費税で景気腰折れ
今年、日本の最大の問題となったのは、4月1日に消費税が引き上げられたことだった。増税は、経済発展の歩みを再び乱すことになった。
消費税増税はこれまでも、政局の動揺と経済発展の停滞を招いてきた。最も影響が大きかったのは1997年の消費税引き上げで、日本経済はこれによって完全に不振に陥り、その傾向は20年近くにわたって続いた。消費税引き上げの影響に対する自民党の準備は今回も十分とは言えない。今年4-6月期のGDP成長率は増税の影響で年率換算マイナス7.6%に落ち込んだ。自民党はこれを十分に重視せず、7-9月期には回復するだろうとの楽観的な見方を示していた。だが実際には1.6%のマイナス成長となった。安倍首相の自民党はここで初めて問題の深刻さを認め、2015年10月に予定していた8%から10%への消費税引き上げを2017年4月へと一年半延期した。
だが今年の企業投資と今後の投資意欲に関するデータから見ると、増税延期の決定は遅きに失したと言わざるを得ない。一部の企業には投資の意欲がある。とりわけ上場企業は金融市場から直接、大量の資金を得ており、投資を行う能力はある。だが本当に投資をしている企業は依然として少ない。
日本市場は成熟市場であり、開拓できる新たな市場にはもともと限度がある。消費税の引き上げは、消費の意欲を深刻に損なうことになった。市場のこうした欠陥は、日本企業の国内投資を難しくさせている。一部の日本企業が分厚い資金を貯めこんでいるにもかかわらず投資に踏み切れないのは、消費税の引き上げによって市場が委縮しているためだ。企業は投資に対して慎重にならざるを得ない。
日本企業のうち海外に工場を建てられる企業はすでにそのプロセスを終えている。そのため円高が進行しても、為替レートの影響で輸出が減るという事態を避けることができた。逆に円安になっても、日本の輸出が増えることはない。日本の輸出入体制は、為替レートの影響を受けないようにすることで円高に適応してきた。だがこの体制は、円安に対応できるものとは言えないようだ。円安は日本の輸出を増やさないばかりか、原料や燃料などの輸入価格を高めており、その限界は明らかになりつつある。
日本が国家として消費税の引き上げを選んだのは、福祉問題を重く見たためだが、経済全体への影響に対する評価は正確さを欠いていた。今年の日本のGDPはドル換算で深刻な縮小となるが、実体経済も同様に委縮していることは疑いようのない事実だ。
中日関係の冷え込みも影響