安倍首相の改憲の道は、あとどれほど残されているのだろうか?昨年末の衆院選前であれば、はるか遠いと言えただろう。これは安倍首相が任期内に、すべての手続きを終えることが不可能だったからだ。しかし衆院選後、自民党は再び圧勝し、安倍首相の任期を2018年まで延長することが可能になった。安倍首相はこれによって、十分な時間をかけて改憲に取り組めるようになった。
果たして、衆院選後間もなく、安倍首相が改憲の動きを見せ始めた。共同通信社の報道によると、安倍首相は14日に関西地方のテレビ番組に出演した際に、改憲の強い意向を示した。安倍首相は、21世紀における日本の理想の姿を込めた新しい憲法を自らの手で書いていくべきだと述べ、改憲に積極的な維新の党からの協力に期待した。
安倍首相は就任当初より、改憲に強い意欲を見せ、「改憲は私の歴史的使命」と称した。安倍首相は挫折後も「初心」を忘れず、婉曲的な方法により内閣法制局に憲法9条の解釈を見直させ、日本の集団的自衛権の行使という目的を達成した。しかしこの間接的な手段は一時逃れの策に過ぎない。安倍首相は日本を平和憲法の束縛から全面的に脱却させるため、改憲という重大な議題を回避できない。
当然ながら、安倍首相は改憲の法的手続きは後には戻れない流れであり、十分な備えが必要であることをよく知っている。改憲はまず、衆参両院で3分の2以上の議員から賛成を得る必要がある。両院で可決後も国民投票に委ねられ、国民の過半数が賛成しなければ最終決定には至らない。このすべての過程において十分な勝算を見込むことは、安倍首相にとって容易なことではない。ゆえに安倍首相は的を絞った対策により、各危険エリアを安全に通過する必要がある。
安倍首相が衆議院で直面する抵抗力は最小と言うべきだ。2014年末の衆院選で、自民党は475議席のうち291議席を占め、これに保守的な維新の党の41議席が加われば、3分の2以上の得票数は難しくない。しかしその後の参議院については、自民党にとって有利ではない。2013年の参院選で、自民党は予想されていた圧勝には至らなかった。維新の党と公明党の議席数を加えても、3分の2以上の得票数との間には一定の開きがある。ゆえに安倍首相は各党との意思疎通と連携を積極的に進め、また今後の参議院の改選に備え、改憲に有利な政治構造を手にしなければならない。