安倍首相の目論見は、当然ながらこれだけに留まらない。まだ遠い先の話である国民投票についても、安倍首相は先んじて手配りを進めている。2013年6月には国民投票法の改正案が可決され、4年後から国民投票の年齢を満20歳から満18歳に引き下げることになった。これは安倍首相に十分な数の新世代の有権者をもたらす。近年「平和憲法」を堅持する日本の高齢者の数が少なくなりつつあり、若い世代が社会の主流になろうとしている。新世代の人々にとって、戦争はすでに「過去形」になっており、戦争反省の責任は彼らと無関係だ。この認識により、日本政府と親しい各主要メディアは、日本が戦後レジームの束縛を受けてきたとする論調をこぞって展開しており、日本社会の各細胞の中に浸透しつつある。この流れが長引けば、これらの論調は最終的に、「主流の共通認識」になる可能性がある。
ゆえに安倍首相の動きは、日本国内の改憲反対派を飲み込もうとしている。安倍首相の戦線は「小幅前進」を続けており、レッドラインの突破が「慣例化」しつつある。また安倍首相はそれと同時に煙幕を張り、敵対勢力を麻痺させようとしている。さらに重要なことは、米国がこの過程を黙認する態度を示していることだ。米国にとって、自国の相対的な実力の低下は不可避だ。これによって日本の東アジアにおける戦略的意義が強まっており、米国はコントロール可能な範囲内で手を緩めることを選択した。こうして安倍首相の改憲の空間は、自ずとこれまでよりも大幅に拡大された。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年1月19日