メイド・イン・ジャパンがデータ改ざんのスキャンダルに陥っているが、日本製造業の支柱産業である自動車産業が真っ先に影響を被った。わずか一週間内に、日本の製造業のスキャンダルが2件発覚した。日本化学工業大手・東レと日本非鉄金属大手・三菱マテリアルは、子会社のデータ改ざんを認めた。両社はいずれも自動車業界の重要な原材料サプライヤーだ。部品、完成車メーカー、さらには原材料サプライヤーに至るまで、日本の自動車産業全体にスキャンダルの嵐が吹き荒れている。しかも現状を見る限り、この嵐はまだ止みそうにない。
日本の自動車産業は長期的にメイド・イン・ジャパンの中心・顔として、精密な製造と品質によって信頼を得ていた。日本の自動車産業の台頭によって生まれリーン生産方式は、現代品質管理の重要体制とされている。これは中国自動車メーカーが海外に学ぶ重点対象だ。しかし今や、製品データの改ざんというスキャンダルが続き、日本自動車産業は空前絶後の輿論の危機に陥っている。
メイド・イン・ジャパンの迷走
南開大学日本研究院の張玉来准教授は「偽造や品質管理などのスキャンダルが続出している。これは自動車産業だけの現象ではなく、日本の製造業全体には近年、同じような問題が生じている。その裏側には非常に複雑な背景、深いレベルの原因がある」と話した。
まずは経営・管理方法及び理念の変化だ。日本の製造業の経営方法と理念は近年、欧米に近づき始めている。株主の利益、投資収益、業績報告をより重視している。古い世代の経営者の代わりに、プロのマネージャーが活躍している。「数十年前に日本の製造業が台頭した時代において、成功を収めたすべての企業には経営者精神が豊かな、企業を命とする経営者がいた。しかし今やこのような経営者は非常に少なくなってしまった」
次に、日本の伝統的な終身雇用制が崩壊し、社員の企業への忠誠度・帰属感・責任は以前ほどではなくなった。厚生労働省が2015年に発表した「就業形態の多様化に関する総合実態調査」によると、同年の日本企業のバイト・派遣社員など非正規雇用職員が占める割合が初めて40%を突破した。1989年の時点では817万人のみで、26年間で2.4倍増となった。
それから、日本の製造業及び基礎技術研究への投資が近年、大幅に減少している。日本政府の2012年度の「製造業白書」は、日本の製造業の研究開発費は2007年に12兆2000億円のピークに達した後、2010年に10兆5000億円に減少したと発表した。2011年の国内の設備投資額は、1990年の7割のみ。別のデータによると、日本の製造業の就業者は2005年の1500万人から2016年の1000万人に減少している。
張氏は「日本のリーン生産方式が生存するための根幹に揺らぎが生じている。企業の経営管理層にせよ従業員にせよ、これにより品質管理問題が近年多発している。外部環境の変化の他に、日本自動車産業も変革の節目を迎えており、数多くの課題に直面している」と指摘した。