日本の安倍晋三首相は17−20日に米国を訪問する。今回の中心的な議題は、トランプ大統領が日本に言いつのる、貿易赤字・貿易不均衡問題と分析されている。米国は3月、鉄鋼・アルミ製品の追加関税導入を決定し、同盟国の日本は制裁の対象から外れなかった。これはトランプ大統領と親密な関係を構築していると誇る安倍首相にとって痛手となっており、堅固な日米同盟に対する国民の疑念も生まれている。
安倍政権は森友学園の国有地取得問題により危機に陥り、日米同盟の貿易・安全面の食い違いが露呈している。これにより安倍政権は国内外で苦しい状況を迎えている。そのため今回の訪米の最大の課題は日米関係の安定化だが、常識はずれのトランプ大統領が相手では、日米貿易で米国に譲歩しなければ難関を順調に乗り切ることは困難だろう。
一触即発の貿易摩擦
安倍首相の訪米には、米国が3月23日に鉄鋼・アルミ製品の輸入規制措置を打ち出したが、日本がその対象外にならなかったという背景がある。日本の経済界は不満を抱き、日米関係を軸とする安倍首相の外交に対する国民の疑念が生まれている。安倍首相の緊急訪米は、外交の火消しのような意味合いがある。
米通商代表部(USTR)は3月30日に発表した貿易の壁に関する2018年版の報告書で、日本の貿易政策を批判した。この内容は日本で大きく取り上げられ、日米貿易摩擦に対する日本国内の焦りが強まった。
トランプ大統領が日本を制裁の対象外としないことを発表すると、日本国内、特に経済界の政府に対する失望ムードが急速に広まっていった。日本経団連の榊原定征会長と日本鉄鋼連盟の進藤孝生は3月26日、東京で各自記者会見を開き、米国の鉄鋼・アルミ製品輸入規制に懸念を評した。榊原氏は韓国とEUが対象外であるにも関わらず日本が外されなかったことについて、「米国の目的は理解できない。安倍首相が4月に訪米した際に、米国の政策の内容をしっかり理解することを願う」と述べた。これは実際には政府への不満を示したことになる。
麻生太郎財務相は先ほど国会で、日本が制裁の対象となったことについて、米国の目的は日本を日米FTA交渉に引き込むことだが、これについて日本ははっきり拒否していると表明した。この発言は、米国からの一方的な貿易制裁に対応する日本の弱点を露呈している。これはトランプ大統領が求めてきた、日米FTA交渉問題のことだ。
これまで日米間では何度も貿易摩擦が生じてきたが、いずれも日本が交渉で不利な条件を飲まされてきた。日本にはその痛い記憶がある。これを背景とし、貿易制裁を武器としFTAの交渉のテーブルに着かせようとするやり方に対して日本ができるのは、日米貿易の重要性を訴え続け、日本を制裁の対象から外すよう求め続けることだけだ。反撃の手段はほぼ存在せず、ましてやこの手段をFTA交渉で駆け引きを展開するためのツールにすることはできない。