難題にぶつかる日米同盟
トランプ大統領の就任により、オバマ政権が日米関係の安定を維持するため利用していた「アジア太平洋リバランス」とTPPがいずれも破棄された。日米同盟は揺らいでいる。安倍政権はTPPに復帰するよう説得を試みてきたが、「米国ファースト」という旗印を掲げるトランプ大統領は興味を示さず、むしろ安全問題を利用し日米貿易赤字・貿易不均衡で日本側に譲歩を迫っている。
日本はこれに対して、経済・貿易と安全を切り離す手段を選んだ。首相官邸とホワイトハウスの緊密な関係を構築することで両国の政治関係を安定させる一方で、貿易赤字・不均衡問題の解消に向け協議する麻生太郎副首相とペンス副大統領の対話枠組みを構築した。この枠組は現在まで、日米関係の安定に向け効果を発揮してきたと言える。
しかし米国の輸入規制、貿易の壁に関する新たな報告書の日本に対する厳しい批判を見ると、米国は日米貿易赤字の解消に向けた日本の取り組みを見守る忍耐をなくしており、トランプ大統領は貿易で日本に攻撃を仕掛けようとしているようだ。
安倍首相の再任以降の数少ない外交の成果のうち、オバマ時代の緊密な日米関係はその見所になっており、長期政権運営の重要な外的要因になった。ところがトランプ大統領が就任すると、日米関係に構造的変化が生じている。トランプ大統領は日本から経済のメリットを手にしようとしているが、日本は経済・貿易と安保という2大難題の間で慎重に動くしかなく、双方を上手く処理することは困難だ。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2018年4月20日