弱り目にたたり目。菅直人首相は今まさにその渦中にある。退陣要求の対応に悪戦苦闘しているところへ、また新たな火種が増えた。松本龍復興対策担当相の被災地での「上から目線」の発言に、各界で波紋が広がり、松本氏は辞任を余儀なくされた。辞任は、就任からわずか9日目となる。もともと内閣を調整することで揺れる政権を固めたかったのだが、逆に菅政権に砲弾を一発撃ち込む結果となった。解放日報が伝えた。
菅内閣での閣僚辞任は、松本氏が初めてではない。政権発足からこれまですでに4人の大臣が辞任している。亀井静香氏が郵政改革法案の今国会成立を断念し自主的に金融・郵政改革相を辞任した以外、他の3人はいずれも小さな事で辞任している。柳田稔法相が「国会軽視」と取れる発言の責任を取って辞任。前原誠司外相は政治献金問題で辞任に追い込まれた。今回はそれに被災地の反感を買った松本龍氏が加わった。
こうしたことが続くと、菅氏の不適切な人選にため息がでるが、その背景には適切な人がいないという現実があるのかもしれない。民主党は政権を握って間がなく、数十年にわたって天下を治めてきた自民党に比べてもともと役立つ人材が限られている。さらに民主党はしょっぱなから内部のもめごとが絶えず、小沢派が党内の実権を握り、菅氏は“反小沢派”といわれ、小沢派の議員が首相に反発することになる。こうした状況にあって菅氏の人選は困難を極める。