中国政府が最近、5月の経済データを相次いで発表したことを受けて、国際世論ではデータの「深読み」が行われている。一部の経済学者は、中国のマクロ調整政策の効果が徐々に現れているとする。また一部の経済学者は、一部の指標が低下傾向を示したことから、中国経済の鈍化の影響が世界に波及する可能性があると懸念する。オーストラリア・ニュージーランド銀行の駐香港エコノミストの劉利剛氏によると、各指標を総合的にみると、中国経済の減速幅は大きくなく、健全なペースダウンといえるという。
▽引き締め措置が効果
世界の経済体の中で、中国の経済成長が最も力強く、世界経済に対する牽引作用が最も大きい。中国経済の情勢は、世界の大口商品取引や金融市場、、また一部の国の実体経済に重大な影響を及ぼす。そこで世界は往々にして倍率の高い虫眼鏡で中国経済の動きを注視することになり、一部の経済上のシグナルが拡大解釈されるのもやむを得ないといえる。
国家統計局が14日に発表した今年5月の消費者物価指数(CPI)上昇幅は5.5%で、3年ぶりに記録を更新した。これに続いて中国人民銀行(中央銀行)は今月20日から預金業務を扱う金融機関の人民元立て預金準備率を0.5ポイント引き上げると発表した。英通信社ロイターは、中国のインフレ情勢は依然として厳しく、新たな引き締め政策の登場は市場の期待に合致するとの見方を示した。海外の報道では、この準備金引き上げは人民銀の今年6回目の引き上げであることに注目が集まっている。人民銀は今年2月と4月にそれぞれ2回ずつ引き上げを実施している。中国はインフレの拡大を防ぐためにさまざまな手段を執っており、このために一連の経済指標が低下傾向に転じた。人民銀が13日に発表した今年5月の貸出金新規増加額と通貨供給量は、いずれも市場の予測を下回った。こうしたデータからわかることは、一連の物価抑制のための引き締め措置が、効果を現し始めたということだ。