豪日刊紙「オーストラリアン」は17日、日本にとって中国の発展はまったく悪いことではないという内容の文章を発表した。
今週発表された昨年10-12月期の日本の国内総生産(GDP)データによると、中国経済が日本を抜いた。
日本の昨年10-12月期のGDPは7-9月期比で0.3%減と多くの経済学者の予測を上回るものだったが、やはり中国に越され、中国が米国に次ぐ世界第二の経済大国となった。
中国は昨年4-7月期の時点ですでに日本を抜いたが、年率計算で中国のGDPが日本を越えたのは初めて。日本の経済総量は約5兆5千億ドルだった一方、中国は5兆8千億ドルを上回った。中国は孤立した貧しい共産主義国から新興大国に生まれ変わった。中国のGDPが日本を抜いたことは発展の重要な転換点といえる。
しかし、GDPの比較だけですべての状況を説明することはできない。日本の一人当たりのGDPは依然として中国の10倍以上だ。労働生産率、教育レベル、エネルギー効率なども日本は大きなリードをとっている。
中国に存在している問題は、不動産価格の高騰、人口数の多さ、15年後には日本の後を追って経済が縮減する可能性があることなどがあげられる。しかし一般的にはこういった現象は徐々に調整されていくと考えられている。一方、日本経済にも深刻な問題が存在する。日本のGDPは昨年の最終四半期で縮小し、前の四半期よりも明らかにペースダウンした。その原因は日本政府が自動車助成金を停止すると同時に新しいタバコ税をかけたためだ。また依然として円高による輸出利益の減少に頭を抱えている。ただ、一時的な縮減はみられたものの、通年でみると、1-9月期はいずれもプラス成長し、GDP成長率は3.9%だった(中国経済の成長率は10.3%)。
与謝野馨経済財政相と日本の中央銀行はいずれも経済が好転すると楽観的な態度を今週示した。
与謝野大臣は「中央銀行と政府は、日本経済は停滞しているようだが、実際はもうすぐ好転するとみている」と話した。ただ、経済学者の多くは、日本経済好転の主な原因を、中国の牽引によるものだと見ている。オーストラリアの経済も中国向けに原材料を販売することで利益を上げているが、日本は益々裕福になる中国人に製品を販売することで恩恵を受けている。これらの製品は時に中国製だが、企業は日本よりも低い給料を支払うことで利益を出している。
東京大学経済学部の伊藤隆敏教授は同紙の取材を受け、労働力の教育レベル向上を中国は日本よりもうまく行っていると話す。中国は日本よりも積極的、自主的に学生を国際文化に触れさせている。皮肉なことに、この社会主義を掲げる国のほうが却って抜きん出た若い学生の中から人材を選びぬき、力を入れて育成することを恐れない。中国は収入分配や地位的な問題を気にしないため、トップクラスの人材が世界的な人的資本となる。中国の影響は今のところ有利に働いているが、両国間の政治の現状は憂慮され、しかも日本は国内の製造業萎縮のリスクを放置している、と伊藤教授が日中の相互利益関係に注意を促す。
「中国に抜かれたことは、日本が輸出、輸入、相互交流強化のチャンスをつかんだことも意味する。これは前向きなことだが、政治的リスクともなっている。海外での売上を伸ばしている企業は海外で工場を拡大しており、国内が空洞化していきている。政府はこれに歯止めをかける措置をほとんど取っていない」。
伊藤教授はさらに、日本はアジア各国との関係強化に力を入れる必要があると指摘。日本の大学はグローバルビジネスを支える、英語を流暢に話せる卒業生の育成に努力しなければならないが、最も急を要するのは国内の改革実施だと強調した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年2月18日