1964年10月1日、日本初の新幹線となる東海道新幹線(東京-新大阪)が開業した。それから47年もの歳月が流れているが、鉄道事業者側に責任がある乗客の死亡事故は未だに発生していない。これが新幹線の「安全神話」が健在する理由だ。
高速鉄道における列車運行の安全確保に関して、開業以来、日本ではずっと重要視されている。今では、自動列車制御装置により、前方列車との距離や線路の状況に応じて自動的に後続列車の速度を制御し、安全な車間距離をとるシステムが普及している。新幹線の脱線予防策にも特殊な技術が採用されている。脱線防止に注力している区間では、脱線しても車輪が大きく逸脱しないようレールの内側に「脱線防止ガード」を設置している。車両側では、台車にL型をした車両ガイド機構を設置し、万が一脱線した場合でも、車両が大きく移動することを防止する対策をとっている。
また新幹線の安全走行に関する日本の基準は非常に厳しい。天候など走行条件が悪ければすぐに運転を見合わせるため、台風の季節には新幹線がストップ、なんてことは日常茶飯事だ。
日本の高速鉄道の安全性への重視の度合いは、地震対策に尽力している姿勢からも分かるだろう。地震大国である日本では、高速鉄道の安全性を脅かす存在として、常に地震が挙げられてきた。1995年1月17日に発生した阪神・淡路大震災では、山陽新幹線の高架橋があちこちで落橋するという壊滅的な被害を受け、新大阪-姫路間の運行再開は84日間もかかった。地震が起こった時、新幹線の列車はちょうど新大阪駅に停車中であったため、脱線した列車が高架下に落下するなどという最悪の事態は免れた。日本ではこれを機に、高架僑の耐震補強対策が採られるようになった。