欧米の債務危機の深刻化に伴い、近ごろ大量の円が買われ、円高が進んでいる。8月11日、東京外国為替市場の円相場は1ドル=76.30円まで上昇し、今年3月17日に記録した戦後最高水準76.25円に迫った。日本は明らかに不景気だというのに、円の人気がこれほど高いのはなぜだろうか。
日本の内閣府が公表した最新の統計によると、2011年度の国・地方の債務残高は対GDP比181%だった。債務残高はさらに拡大する傾向にあるため、実質経済成長率が1%を維持し、2015年度に消費税を5%引き上げても、債務残高の対GDP比は210%に上昇する見通しだ。国際通貨基金(IMF)の推計によると、今年4月時点で、日本の債務残高の対GDP比は230%に達した。ギリシャは152%、イタリアは120%、米国は98%で、日本の状況はギリシャよりずっと深刻だと言える。さらに、日本はバブル崩壊後から不況状態が続いており、今年は東日本大震災と福島の放射能漏れ事故で大きな打撃を受け、その先行きは期待できるものではない。それにもかかわらず、円買いが根強く、「円高騰」となっている。
アナリストは、円高には主に次の6つの要因があると分析する。
1. 市場で増税観測が高まっている。日本の現在の消費税率は5%で、先進国の中で最も低い。税率20%の欧州諸国と比べると、日本が増税する可能性は高い。
2. 日本の経常収支の黒字額は縮小しているが、黒字を維持している。これは日本経済にとってプラス要因の一つだ。
3. 日本の国債の90%以上は国内の投資家が保有し、国債の国内消化率は比較的高く、資金が大量に流出する可能性が低い。
4. 市場で日本の「震災特需」への期待が高まっている。日本政策投資銀行が発表した2011年度の国内設備投資計画調査によると、全産業の計画は前年比7.3%増の約15兆円と、4年ぶりにプラス成長となった。震災復興と再建は、設備投資の増加の主なけん引力となっている。