日本とインドは今年下半期に海上交通の安全確保のための合同軍事演習を初めて行う。その背景には、互いの戦略的思考があり、今後の軍事協力の動向が注目されている。中国軍の機関紙「解放軍報」が伝えた。
(1)公海を突破口とし、軍事的影響力を拡大。
両海軍はアジア太平洋地域においてトップクラスで知られるが、これまで地理的、伝統的に接触がなかった。特に日本の自衛隊はこれまで米軍との合同演習が多かったが、近年日本は平和憲法の制約をよそに、次から次へと対外軍事協力を行っている。インド海軍との合同軍事演習で、自衛隊の海外派遣に対する国内外の反応を見るつもりだ。日印双方は「海上交通の安全確保」という演習テーマを慎重に選択し、公海を突破口とし、軍事的影響を徐々に拡大していくねらいだ。
(2)海軍の演習を皮切りに、軍事協力の分野を拡大。
今回の演習は、日印両海軍の関係を高め、国際的影響力を拡大するほか、今後の軍事協力、特に軍事技術協力の突破口を開く可能性がある。日米間の軍事協力は不平等な関係に基づく協力であることから、日本はこれまで「武器輸出三原則」の規制を緩和し、軍事技術協力の対象を米国から他の国にも広げようと努力してきた。日本側は、インドとの軍事技術協力が実現すれば、対外軍事協力の「正常化」の重要な第一歩となると考えている。一方のインドは世界最大の武器輸入国であると同時に、武器・装備を輸入する国の多元化を進めている。日本という供給ルートができれば、インドの今後の武器・装備輸入に余裕ができる。