中国の産業レベルアップと経済構造の調整を推進
中日韓FTA成立後で懸念される点といえば、中国の製造業に加わる圧力だろう。これについて、張教授は楽観的な態度をとっている。すなわち、中国が世界貿易機構WTOに加盟した経験から言えば、事前に懸念されていた多くのことは、後に発生しなかった点が多いと証明された。衝撃は必ずあるだろうが、中国の企業にとっては更に革新技術の自主開発を進める上でよい推進、刺激作用をもたらすだろう。また、視点を変えてみれば、自動車業界を例として、ひとたび日本の現地生産の自動車が無課税で中国市場に入ってきた場合、中国で生産している合弁ブランドの自動車にとっておそらく大きな打撃となるだろうが、日本ブランドは自分の利益を考え、必ず輸入車の台数や車種ラインナップなどを調整せざるを得なくなるだろうし、直接的な競争を避けるだろう。そうでなければ自傷行為になる。韓国系自動車ブランドも同じ道理だ。日本や韓国の資本の中国市場におけるローカライズは非常に高水準であるから、中国の製造業界にとって発生する障壁は想像よりも大きくないだろう。悪性の競争を避けられるだろう。
アモイ大学経済学院の副院長である黄建忠教授も、中日韓FTAが進展すれば、ちょうど中国が行っている産業構造のレベルアップにつながり、経済発展方式の調整の時期にも合う。中国は国内ブランド企業に対し、適切な政策による支持や指導を行い、さらに課題対応にも便宜を図るだろう。