劉江永氏は、「安倍首相が自衛隊の迷彩服を着用し戦車に乗り、主権回復の日に天皇陛下万歳と叫んだ。安倍首相はこれによリ、戦後初めてこのようなアピールをし、このような発言をした首相になった。これは安倍首相の歴史観・戦争観の思想と関連しており、自民党がかつての自民党ではなくなったことを反映している。安倍首相は岸信介の流れをくむ町村派に所属しており、自民党内では派閥間の相互抑制が不足している」と分析した。
野党も抑制の役割を果たしていない。劉氏は、「最大野党の民主党はそもそも保守派の政党であり、改憲に関してだけは自民党と距離を保っている。しかし民主党は政権を奪取してから政権を失うまで、ミスを重ね続けた。党内に深刻な分裂が生じ、一部の人は自民党より自民党らしくなった。次の参議院選挙では、民主党が参議院最大政党としての地位を維持することは難しく、日本維新の会に追い越される可能性もある。公明党は改憲について安倍首相をけん制しようとしているが、同様に力不足だ」と指摘した。
劉氏は、「今後、日本の政治の右傾化が継続されるだろう。これは日本メディアが言うような保守化でもなければ、軍国主義化でもない。福田康夫氏と鳩山由紀夫氏は政権運営の際に、短期的な反右傾化の流れを見せたが、政治の右傾化は持続された。また市民化とネット化が生じており、これを抑制できなければ、日本の政治が右翼化し、右翼政党が政権運営に進出し、政治決定を左右するだろう。これはアジアに災いをもたらすことになる」と警鐘を鳴らした。
しかしながら劉氏は、改憲の流れは逆転させることも可能で、日本国内の要素が決定的な作用をもたらすとした。
共同通信社が先月発表した世論調査の結果によると、安倍首相による憲法第96条の改正に反対する人が46.3%、賛成する人が42.7%に達した。朝日新聞の最新の世論調査によると、有権者の54%がこれに反対し、38%が賛成を表明した。憲法第9条の改正については、52%が「改正しない方が良い」と回答し、39%が改正を主張した。自民党を支持する有権者のうち、憲法第9条の改正に賛成する人が45%に、反対する人が46%になった。
劉氏は、「日本メディアの世論調査には一定の傾向があり、その結果には差が生じるため、注意が必要だ。朝日新聞の世論調査と比較し、読売新聞、産経新聞、日本経済新聞の発表した世論調査の結果では、憲法第9条の改正に賛成するとは限らないが、改憲支持が多数を占めた」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2013年5月6日