劉江永教授は「仮に自民党が参院選で大勝すれば、憲法96条の改正だけに止まらず、一連の動きに出る可能性がある。憲法9条を改正して自衛隊を『国防軍』に格上げし、集団的自衛権の行使を容認し、更には海外での軍事行動の合法性を確保するため、自衛隊法を改正する可能性がある」と指摘し、「参院選で、自民党勢力が優勢でなければ、内閣を改造して公明党との連立を解消し、維新の会と連立を組んで『改憲議員連盟』、或いは『右翼連盟』を結成する可能性もある。もし、参院で過半数を獲得できなければ、動きはおとなしくなるだろう」との見方を示した。
現段階での日本の各政党の支持率を見ると、自民党が参院選で勝つ可能性は高い。参議院は3年毎の半数改選であり、解散による前倒し選挙がないため、参議院で過半数を確保できれば、安倍首相の自民党政権は、7年近く続いていた「首相が1年毎に交代する」という政治の迷走に終止符を打つことができる。長期政権となれば、改憲の進展が逆転するのは難しいと見られる。
このところの安倍首相の一連の度を越した言動については、一部の米国メディアから批判が集まっている。しかし、劉教授は「日本の改憲の動きを米国が左右することはあり得ない。その上、リチャード・アーミテージ元米国務副長官に代表される米国のタカ派勢力はむしろ、改憲を望んでおり、憲法を改正しない限り、日本は海外における軍事行動で米国を助け、コストを分担することはできないと考えている」と指摘した。
米国が共和党政権だった頃には、アフガニスタンやイラクとの戦争での日本のより一層の投入を求めていた。日米同盟を維持し、日本を引き続きコントロールできるのであれば、日本に「集団的自衛権」を行使して欲しいと考えていた。その共和党に比べれば、オバマ大統領率いる民主党政権は慎重ではあるものの、劉教授は「米国が日本の改憲を止めるには、時期的に既に遅い」と指摘する。
また、日本の右翼勢力は外部の圧力を利用して、世論を扇動することに長けている。劉教授は「日本の右翼勢力は釣魚島問題を利用して、積極的に挑発行為を繰り返し、中国の人々の怒りを買い、国内では逆に中国の一部のネットやメディアの過激な発言を引き合いに出すことで、『中国の軍事的脅威』と吹聴している。例えば、『火器管制レーダーの照射』事件などをでっち上げ、反中感情を作り上げることで、事の真相を理解していない日本国民、特に若者の改憲や右翼に対する支持を高めようとしている」と指摘する。
このような世論の圧力を受け、2012年12月の衆議院選挙では、一部の親中の政治家が落選或いは政界から退くことを余儀なくされた。中国に友好的でない、ひいては反中の政治家が当選したことで、元は親中派だった議員も保身のために、日本の政界の流れに合わせて、「右に傾き始めている」。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2013年5月6日