日本新華僑報編集長の蒋豊氏は釣魚島問題を、安倍首相がこのほど制定した一連の外交・安保戦略を実現するためのツールであると分析した。日本の政治家は中国に強硬姿勢を示しており、「いじめられている」印象を海外に伝える一方で、さまざまな積極的な活動を密かに進めている。小野寺五典防衛相は10月28日に宮崎市で講演した際に、武器及び関連技術の輸出を禁じる武器輸出三原則の、根本的な見直しの必要性を訴えた。憲法解釈の見直しや集団的自衛権の行使について、小野寺防衛相は明確に支持を表明した。「環球時報」が伝えた。
日本のこの意図は、韓国の与野党から強い反発を受けた。韓国与党・セヌリ党は29日、安倍首相は「中国脅威論」を口実に、日本がアジア太平洋地域の主導権を握るべきだと主張しているが、その目的は集団的自衛権の解禁などの軍事再武装の正当性のPRだと指摘した。韓国・聯合ニュースが同問題について米国務省に問い合わせたところ、自衛隊の防衛能力に関する問題は日本が自ら決めることだという回答を得た。ヘーゲル国防長官は先月、日本の集団的自衛権の行使に賛成を表明した。コリア・ヘラルドは、「財政が逼迫している米国は、日本がより多くの安全責任を担うことを非常に歓迎しているようだ」と分析した。
米国はなぜ、これまでよりも日本を必要としているのだろうか。ハドソン研究所社長兼CEOのケニス・ ウェインスタイン氏は寄稿文の中で、「米国経済は2008年の危機から回復しておらず、軍事力は10年戦争と財務圧力により崩壊の危機に瀕している。しかし米国は依然として、低コストの現実的な手段によりアジアの安全を強化できる。その中心となるのは、日本の復興だ。米国は10年ぶりに軍事費を増加した日本から、回復の兆しを見て取った。米国から見れば、これは最高のチャンスだ。米国は資源面の制限から、一国のみで中国を抑制することは不可能だ。米国は戦略的重心のアジア太平洋へのシフトを名義に、太平洋における軍事力を数・質の面から強化しているが、これは象徴的な作用しかもたらさないだろう。依然として銀行の危機に足を引かれ、軍事費が長期的に不足している欧州にとっては、この空白を埋めることはより困難だ。米国は繁栄する日本を、中国抑制の力にする必要に迫られている」と分析した。
フランス紙ル・フィガロは、「首相の席に落ち着いた安倍首相は、中日の島を巡る問題を通じ日米の防衛協力を強化し、中国と隣国間の領土問題を利用し、アジアの安全事業に介入しようとしている。しかし安倍首相のこの構想には、多くの隠された不安要素がある。まずは米国の態度だ。米国は日本に安全の保護を提供し、かつ日本を利用し中国をけん制してきた。しかし米国は中日の間で慎重にバランスを維持しており、日本を深入りさせることはないだろう」と伝えた。
韓国国防大学校の日本問題専門家のパク・ヨンジュン氏はコリア・ヘラルドに対して、「中国の脅威をいかにとらえるか、これは米日の直面している重要な問題である。なぜなら米日の中国に対する観点は、一致していないからだ。双方がこれについていかに妥協するかが、防衛指針の改定の重点となっている。米国は中国の軍事力の強化に気づきながら、米中両国の社会・経済レベルの相互依存性が深まっていることを意識している。しかし日本は、米国よりも中国の軍事的脅威を重視している」と語った。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2013年10月30日