会場の様子(11月28日撮影)
中日平和友好条約締結35周年および工学院大学孔子学院創立5周年を記念し、「中日関係―現状と展望」をテーマとする中日関係シンポジウムが11月28日午後、東京で開催された。同シンポジウムは中日未来の会、東京都中日友好協会、中国国際友人研究会、工学院大学孔子学院の主催、雑誌社「人民中国」の支援によって行われた。
シンポジウムで、工学院大学孔子学院の西園寺一晃学院長は、「文化交流などのような民間関係は国の関係の延長線である。中日両国は緊張し冷え込んでいるが、互いに冷静に紛争や矛盾を解決するように努めるべきだ」と語った。ネパール大使、バーレーン大使、福岡総領事などを歴任した中国国際友人研究会の呉従勇副会長は、「ここ数十年来、中国と日本は暖かい春と冷たい冬を経験してきた。新しい時代において最も重要なことは、歴史問題を直視し、万難を排除し、国民間の交流を進めていくことである。また、客観的な事実を直視、尊重し、共同の利益を出発点として両国関係を改善していく」と話した。
元中国駐大阪領事の王泰平氏は、「今年は中日平和友好条約が締結されて35周年に当たり、両国関係の発展において記念すべき重要な節目である。しかし、現在、両国関係は国交正常化以来最も困難な時期であるといえ、日本政府が『島購入』事件を引き起こしたことにより、中日関係は最も深刻な危機に陥った。関係改善には、知恵が必要なだけでなく、誠意もまた必要だ。私は最終的にはやはり『係争棚上げ、共同開発』の方法によって解決する必要があると思う。この方法は戦争によってではなく、平和的手段を用いて国際的紛争を解決するという主張と互利・ウィンウィンの方針を示すものであり、自らの利益を守りつつ、相手にも配慮した方法だ」と話した。また、中日双方は理性を持ちつつ慎重に両国関係の現状に向き合い、かつそれをめぐる問題を対処し、誤ちを犯したり方向性を見失ったりしないようにしなければならないと示した。
横浜国立大学の村田忠禧名誉教授は、中日間の領土紛争の平和的解決の実現について、「両国政府は話し合いによる平和的解決の道を選択するほかない」と述べた。また、「民間交流の積極的な展開」「冷静、客観性を育てていく努力の必要性」「歴史事実の共有化への取り組み」「中日国交回復交渉と平和友好条約交渉に関する資料の全文公開」「領土問題をめぐる資料集の共同作成」「領土問題に関する共同研究の積極的意義」「中日韓の正三角形の連携の構築」などの様々な解決策がシンポジウムで出された。
そのほか、中日両国の専門家たちは、民間の友好交流、相互の信頼関係、高齢化問題などをめぐって意見を交換した。