米国の現地時間27日、中国外交部の王毅部長が国連総会の一般討論演説で、「歴史を書き換え、事実をねじ曲げることはできない」等と発言し、海外メディアから暗に日本を批判し、安倍首相に警告を出したと解釈された。安倍首相は29日の施政方針演説の中で、中国との「友好関係」を構築しなければならないという、「極めて稀」な態度を示した。これは安倍政権が発した、中国との関係改善を希望するシグナルと判断された。「環球時報」が伝えた。
ロイター通信は、「王部長は発言の中で、歴史をねじ曲げたり、侵略を否定したりしてはいけないと重ねて強調した。この中国の高級レベルの外交官は国連総会で、次のように発言した。来年は第二次世界大戦の終戦70周年だ。世界の20億人以上が、この惨禍に巻き込まれた。日本軍国主義の対中侵略だけでも、中国の3500万人以上の軍人と民間人が死亡した」と報じた。
共同通信社は、「王部長は歴史問題の他に、主権・領土保全の原則を必ず守らなければならないと強調した。中国の外相の発言は特定の国に向けられたものではなかったが、日本政府を批判していると考える人もいるだろう。安倍首相は靖国神社を参拝し、中韓などから強い反発を受けた。安倍政権は1993年の第二次世界大戦中の慰安婦に対する謝罪の見直しを示唆し、中韓から歴史書き換えの行為と見なされた」と伝えた。毎日新聞は、王部長は「日本を直接批判しなかったが、これが安倍政権の歴史認識問題に対する警告であることは間違いない」と言い切ったほどだ。
毎日新聞は、王部長は発言の中で日本に配慮し、安倍首相の靖国参拝や釣魚島問題を具体的に取り上げず、国連総会に出席する岸田文雄外相と事前に会談したと報じ、これは日本が最近、日中関係の改善を試みる動きをしているからだとした。ロイター通信は、「中国の外交部長は2012年の国連総会の弁論で、日本側と真っ向から対立したが、今回は違った」と伝えた。
安倍首相は29日、対中関係改善の新しいシグナルを発した。シンガポール華字紙『聯合早報』は、「安倍首相は施政方針演説の中で、中国との友好関係の構築に珍しく言及した」と指摘した。29日付ジャパンタイムズは、「安倍首相の16ページに及ぶ演説原稿の中で、日中関係に関する内容は一部のみだった。その中で安倍首相は、中国との友好関係の構築を願うと表明した。この首相にとって、これは尋常ならざるフレーズだ。安倍首相はしばしばタカ派と形容され、対中関係に言及する際には友好関係という言葉の使用を避け、共通する戦略的利益に基づく互恵関係を構築すべきと称している。安倍首相は、日本と中国は切っても切れない関係にあり、中国の平和的な発展は日本に大きなチャンスをもたらし、日中の友好的で安定した関係を構築するため、一刻も早く首脳会談を実現したいと述べた」と報じた。
ジャパンタイムズは、「安倍首相が演説の中で使用した新しいフレーズは、中国との関係改善を願うというシグナルを発したように見える」と報じた。共同通信社は、「安倍首相は国連総会で渡米中に、力により現状を変えることは許されない等、中国の海洋活動をけん制する発言をしなかった。安倍首相は中国に対する批判的な態度を改め、温和路線に転向した」と伝えた。
中国外交部の華春瑩報道官は29日の定例記者会見で、安倍首相の姿勢について、「現在の中日関係がこのような局面に陥っている原因ははっきりしている。中国は日本が実質的な行動により、両国関係を着実に改善し発展させるため条件を創造することに期待する」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2014年9月30日