日本の安倍晋三首相は25日午後に首相官邸で記者会見を開き、28日召集の臨時国会冒頭で衆議院を解散し、来月に総選挙を行うことを正式に発表した。(筆者:周永生 外交学院日本研究センター副主任)
衆院解散権限は、日本の首相の「伝家の宝刀」と呼ばれている。首相は通常、与党にとって最も有利な時期に衆院解散・総選挙に踏み切り、政権を継続させようとする。現状を見ると、このタイミングでの解散・総選挙は、安倍首相にとって確かに多くのメリットがある。
8月3日の内閣改造後、安倍内閣の支持率が持ち直している。それまで森友学園・加計学園問題などのスキャンダルの影響を受け、安倍内閣の支持率が政権運営の「危険水域」まで低下していた。この状況下、安倍首相は内閣改造に踏み切り、評判の悪い閣僚を追い出し、支持率を回復させた。
その一方で野党はバラバラになっており、選挙の準備が整っていない。最大野党・民進党は党代表選を終えたばかりで、かつ党内からはスキャンダルが続出し、思想が統一されていない。国民からの支持率も10%前後と低く、安倍首相が率いる自民党の敵ではない。安倍首相と競争する「ブラックホース」になりうる小池百合子氏は、先ほどの東京都議選で圧勝したが、新党発足の動きは緩慢だ。その他の政党の間にはさまざまな食い違いがあり、野党連合で自民党に対抗することは困難だ。この状況下での解散・総選挙は、安倍首相と自民党にとって非常に有利だ。
衆院解散は安倍政権の「延命」、党内外の権力強化のツールに過ぎず、改憲への備えが最終目的であることに注意が必要だ。
これまで自民党、公明党、日本維新の会などの改憲勢力が、衆参両院で3分の2の議席を占めており、改憲案の国会可決が可能だった。しかし多くの日本国民が、安倍首相による改憲に反対している。総選挙後に3分の2以上の議席数を確保できれば、安倍首相は改憲を推し進める自信を深める。9月3日に朝鮮が核実験を行うと、一部の国民は安倍首相の強硬路線と改憲の主張への支持に転じている。