「匠の精神」や高い信用で知られた「メイド・イン・ジャパン」はどうしてしまったのだろうか。最近、スキャンダルに追い回されている日本企業は、この問題によって息もつけない状態に陥っている。
16日には、日本の日立製作所が英国向けに製造した都市間高速鉄道の列車が営業運転に投入されたが、技術的な問題によって遅延した上、水漏れなどの故障も発生した。
8日には、日本3位の鉄鋼メーカーである神戸製鋼所の製品の劣悪製品の出荷や品質データの改ざんのスキャンダルが広がり始めた。米司法省も17日から介入を始め、米国の顧客に販売した不合格製品の関連情報を提出するよう同社に求めた。
2日には、日本の日産自動車グループの6カ所の工場で、品質検査の知識や資格を持たない検査人員が長期にわたって完成車の検査を担っていたことがわかった。三菱自動車やスズキ、三井住友建設などの評判の高い日本企業もここ数年の虚偽スキャンダルのリストに名を連ねている。エアバッグの欠陥を隠蔽したタカタ社は今年6月に破綻申請を迫られた。
日本企業のイメージは惨憺たるありさまに陥っている。品質や信頼、進歩の追求という、日本人がかつて誇っていた気構えはどこに行ってしまったのだろうか。「メイド・イン・ジャパン」が輝きを失ってしまったことは、企業精神の転落を映し出している。
変化
「広島県にあるマツダの本社工場。2008年9月に起きたリーマン・ショックの衝撃からようやく立ち直ろうとしていた頃にこの工場を取材した。(中略)現場を案内してくれた宮脇克典さんが、こんなことをつぶやいた。『こう言うと上司に怒られると思うんですけどね、リーマン・ショックの時、僕は楽しかったんですよ』。経済危機のただ中でラインは止まり、現場の社員はやることがない。ならば、と普段は忙しくて手が回らない『カイゼン』に没頭したと言う。作業員の歩みに合わせて動く塗装ガン(など、中略)数々の知恵がこの時、実際に工場に取り入れられたと話す」。『日本経済新聞』寄稿者の杉本貴司氏は16日の記事でこれを例として、「現場に精通した社員がアイデアをぶつけ合い、わずか1ミリ単位、1円単位の改善を積み上げていく。こういった工夫の積み重ねが日本の製造業を世界のトップに押し上げたことは間違いないだろう」と論じる。