日本に住むあるベテランのメディア関係者は『環球時報』記者に対し、多くの日本企業が「ここまで堕落した」ことを「非常に悲しく思う」と述べている。日本の優れた企業精神は、百年さらには千年以上にわたるたゆまぬ向上の積み重ねの結果だからだ。
日本では2016年末までに、百年の歴史を持つ企業の数が2万社を超えている。平均100社に1社は百年企業がある計算となり、日本は「百年企業の宝庫」と言える。200年以上の経営の歴史を持つ企業は世界の総数の半数以上に達する。578年に創業した寺社建築企業「金剛組」と705年に創業した「西山温泉慶雲館」はその代表格だ。「困難な時にこそ、信頼を裏切るのではなく、さらなるチャレンジが必要だ。今日は昨日より、明日は今日よりもよくなっているのでなければならない」。慶雲館第52代当主の深沢氏は、「先祖代々伝わってきたものを守らなければならない」と語る。
「先祖代々伝わってきたもの」とは何だろうか。一つの技術をターゲットとし、長期にわたる取り組みを続ければ、その小さな分野で王者になることができる。例えば超小型のプラスチック歯車の生産と加工の技術を持つ世界で唯一の企業は日本にある。最小の歯車は重さわずか100万分の1グラム、直径0.149ミリメートルにすぎない。この歯車は、トップクラスの自動車や腕時計などの多くの主要部位に欠かせないものとなっている。
「技術や設備の面では少しも手を緩めない。数量や速度を追求するのではなく、品質を最優先する」。日本企業と協力を続ける中国の製造業関係者は『環球時報』記者に対し、日本企業精神の印象をそう語る。だがこのような精神は、約10年前の金融危機から後退し始めた。 陳言氏が『環球時報』記者に語ったところによると、神戸製鋼所のスキャンダルが発覚した後、ある日本の大企業の上級管理職がこう言った。 「生産規模では中国にますます太刀打ちできなくなっている。種類の多さや高品質で生産を維持したいが、企業が注文を受け続けられるとは限らない。生産コストの引き下げでは毎日大きなプレッシャーを感じている」。神戸製鋼所の製品を使っていた日本の自動車メーカーの上級管理職の加藤氏(仮名)は『環球時報』記者に対し、神戸製鋼所の技術水準をもってすれば、顧客の要求を満たせない可能性は低いし、収益も出しているので資金の問題もなかったはずだと指摘する。唯一考えられる理由は、「コスト削減と生産速度の加速」の過度の追求だ。自動車メーカーなどの顧客となる企業はいずれも、よりすばやく手に入り安価な製品の調達を望んでいる。神戸製鋼所はもともと評判が高いので、注文を受けるのは難しくない。