三、中国の特色ある社会主義
法律体系の特徴
各国の歴史や文化、伝統、具体的な国情、発展の道の相違、社会制度や政治制度、経済制度の相違は、各国の法律体系に必然的に異なる特色があることを決定づけている。中国の特色ある社会主義法律体系は、新中国成立いらい、とりわけ改革開放30余年らい、経済社会発展の実践経験の制度化と法律化の集中的具現であり、中国の特色ある社会主義制度の重要な構成部分であり、きわめて鮮明な特色を持っている。
(一)中国の特色ある社会主義法律体系は中国の特色ある社会主義の本質的要請を具現
一国の法律体系の本質は、その国の法律に定められた社会制度の本質によって決まるものである。中国は、労働者階級の指導する労農同盟を基礎とした人民民主主義独裁の社会主義国である。社会主義の初級段階において、中国が公有制を主体とし、多種類の所有制経済がともに発展する基本的経済制度を実行することは、中国の法律制度が必然的に社会主義の法律制度であり、構築された法律体系が必然的に中国の特色ある社会主義の性格を持つ法律体系であることを決定づけている。中国の特色ある社会主義法律体系に含まれるすべての法律規範、確立されたさまざまな法律制度は、社会主義制度を強固にし、発展させるうえでプラスとなり、人民の共通の意志を十分に具現し、人民の根本的利益を守り、人民が主人公となることを保障している。中国はどんな法律を制定するか、具体的な法律制度の内容をいかに規定するかは、いずれも中国の特色ある社会主義の本質的要請から出発し、人民大衆の根本的意志と長期にわたる利益に立脚し、最も広範な人民の根本的利益をりっぱに実現し、擁護し、発展させることを根本的出発点、立脚点としている。
(二)中国の特色ある社会主義法律体系は改革開放と社会主義近代化建設の時代の要請を具現
新しい時期における中国の最もはっきりした特色は改革開放である。中国の特色ある社会主義法律体系は改革開放とともに生まれ、進行し、互いに促進し合ってきた。一方では、中国の特色ある社会主義法律体系の構築は、改革開放と近代化建設がスムーズに進められる内在的要請であり、改革開放と近代化建設の豊富な実践経験の突っ込んだ総括を踏まえて行われたものである。他方では、中国の特色ある社会主義法律体系の構築は、改革開放と社会主義近代化建設のために良好な法的環境を提供しており、それを規範化し、牽引し、保障し、進めるうえで積極的な役割を果たしている。同時に、中国の特色ある社会主義法律体系は、法律の安定性と改革の変動性の関係を適切に処理し、改革開放と近代化建設の成功したやり方を反映し、肯定するばかりでなく、改革開放と近代化建設のさらなる発展の可能性を残すものである。
(三)中国の特色ある社会主義法律体系は、内在的統一かつ多層的な構造を持つ国情の要請を具現
一国の法律体系の構成は、一般にその国の法的伝統、政治制度、立法体制などの要素によって決まる。中国は統一した多民族の単一国家であり、歴史的原因により、各地の経済社会発展はきわめてアンバランスである。この基本的国情に合わせ、中国の憲法と法律は、統一かつ多層的な中国の特色ある立法体制を確立している。これは、内在的統一かつ多層的な構造を持つ中国の特色ある社会主義法律体系の特色を決定づけ、法律体系自体の内的論理を反映するとともに、中国の国情と実情にも合致するものである。それに適合して、中国の特色ある社会主義法律体系は憲法に統率され、法律、行政法規、地方性法規など多層的な法律規範によって構成されるものである。これら法律規範は、異なる立法主体が憲法と法律に定められた立法の権限に基づいて制定したものであり、異なる法的効力を持ち、いずれも中国の特色ある社会主義法律体系の有機的構成部分であり、ともに科学的で調和のとれた統一体をなすものである。