中国は社会保障制度の整備を重視し、社会保険法を制定し、都市と農村の住民全体をカバーする社会保険システムを確立し、基本養老保険、基本医療保険、労災保険、失業保険と出産保険の5項目の保険制度を確立し、公民が高齢化し、病気になり、仕事で負傷し、出産するなどの状況下において、必要な物質的補助と生活保障が受けられるよう保障している。基本養老保険基金は徐々に全国統一化を実施し、その他の社会保険基金も徐々に省クラスの統一化を実行することを明確にしている。勤労者が異なった地域で就業する場合、社会保険関係のポータビリティーの制度を設けた。国務院はまた、失業保険条例、労災保険条例、社会保険費徴収暫定条例、農村五保(衣・食・住・医・葬儀を保障する)扶養活動条例などの行政法規を制定し、また新しいタイプの農村養老保険と新しいタイプの農村合作医療制度の構築を決定し、社会保障制度の構築を推進するうえで重要な役割を果たしている。社会保障制度の確立は、中国政府が法律によって社会保障システムの整備を加速し、社会の公平さを守り、調和のとれた社会を構築するうえで、法律制度の保障を提供している。現在、中国の社会保障がカバーする範囲はますます大きくなり、国有企業から各種の社会経済組織、会社の従業員から臨時就業者や住民、都市から農村へと徐々に拡大している。2010年末までに、都市部の従業員養老保険制度でカバーされているのは2億5700万人で2002年に比べて約1.7倍も増えた。新しいタイプの農村養老保険制度でカバーされているのは1億300万人で、都市と農村の基本医療保険でカバーされているのは12億6000万人にのぼり、これは2002年の13倍にあたり、労災保険加入者数は1億6100万人、失業保険、出産保険のカバーする範囲も迅速に拡大している。国務院はまた都市における住所不定の浮浪者、物乞い救助管理弁法、法律援助条例、自然災害救助条例、都市部住民の最低生活保障条例などの行政法規を制定し、また農村の最低生活保障制度を構築することを決定し、中国で都市と農村をカバーする社会救済システムはすでに基本的に確立された。
2010年末までで、中国では7700万人の生活困窮者が最低生活保障待遇を受けた。中国の社会保障レベルはたえず向上し、人民は確実に発展の成果を享受している。 中国は特殊な人びとの権益の保障を重視し、身体障害者保障法、未成年者保護法、婦女権益保障法、高齢者権益保障法、未成年者犯罪予防法などの法律制度を制定し、特殊な人びとの合法権益を保護し、社会の公平正義を守るうえで重要な役割を果たしている。 刑法。刑法は犯罪と刑罰を規定する法律規範である。国家の刑罰権の規範を通して、犯罪を懲罰し、人民を保護し、社会秩序と公共の安全を守り、国家の安全を保障する。2011年8月末までに、中国は統一的な刑法1件、刑法改正案8件を制定し、外貨騙し買い、外貨の不正持ち出し、不正な外貨売買の犯罪の懲罰に関する決定を出し、また9件の刑法規定に関する法律解釈を採択した。 中国の刑法は罪刑法定で、法律の前ではすべての人は平等で、罪状に相応する刑罰などの基本原則を確立した。中国刑法は、以下のように明確に規定している。①法律が明文で規定している犯罪の行為は法律によって罪を言い渡す。②法律が明文で規定していない犯罪行為は罪と処刑を定めることはできない。③いかなる人の犯罪に対しても適用する法律の上では一律に平等である。いかなる人も法律を超える特権は許されない。刑罰の軽重は犯罪者の犯した行為とその負うべき刑事責任に相応しなければならない。中国刑法は犯罪の概念を規定している。刑罰の種類を規定し、保護観察、拘禁、有期懲役、無期懲役、死刑の5種の主刑および罰金、政治権利の剥奪、財産没収の3種の付加刑を含み、また刑罰の具体的な運用に対して規定を行っている。国家安全危害罪、公共安全危害罪、社会主義市場経済秩序破壊罪、公民の人身権利侵害罪、公民の民主権利侵害罪、財産侵害罪、社会管理秩序妨害罪、国防利益危害罪、汚職賄賂罪、汚職罪、軍人職責違反罪など10種類の犯罪行為およびその刑事責任を規定している。 中国は経済社会の発展変化の実情に基づいて、刑法の改正と解釈を適時に行い、刑事法制度をたえず整備させている。