2011年2月に採択した刑法改正案(八)は、刑法に対して比較的大きな改正を行い、13項目の経済的非暴力犯罪の死刑適用を取り消し、中国の刑法における死刑罪名総数の19.1%を占めている。未成年者と満75歳の高齢者に対しての寛大な処置、監禁刑を執行しない方式の法律規定を整備した。労働報酬を支払わず、勤労者の合法的権益をひどく侵害する行為、飲酒運転など危険な運転行為を犯罪と規定している。公民の人身の自由、生命・健康などを侵害する犯罪行為の懲罰の度合いを強め、中国の刑事法制度をより踏み込んで完備させ、人権の保護を強化し、中国の社会文明の発展と民主的法治の進歩を具現している。 訴訟と非訴訟手続法。訴訟と非訴訟手続法は社会の紛争の訴訟活動と非訴訟活動を規範化し解決する法律規範である。訴訟法律制度は国の司法活動が社会の紛争を解決することを規範化した法律規範であり、非訴訟手続法律制度は仲裁機構または人民調停組織が社会の紛争を解決することを規範化した法律規範である。2011年8月末までに、中国は訴訟と非訴訟手続法方面の法律を10件制定した。 中国は刑事訴訟法を制定し、すべての公民が法律の適用において一律に平等であることを規定し、人民法院、人民検察院はそれぞれ独立した審判権、検察権を行使し、人民法院、人民検察院、公安機関はそれぞれ責任を負い、お互いに協力し合い、お互いに制約しあっている。また、容疑者、被告人が弁護を受けられることを保証している。人民法院の法律による判決を経なければ、いかなる人に対しても有罪などを確定できないという刑事訴訟の基本原則と制度が規定されている。また管轄、回避、弁護、証拠、強制措置、調査、起訴、審判、執行などの制度と手続を規定し、刑法の正確な実施を効果的に保証し、公民の人身権利、財産権利、民主権利とその他の権利を守り、社会主義建設事業の順調な発展を保障している。 中国は民事訴訟法を制定し、当事者が平等に訴訟の権利を有し、自らの意志と合法的な原則に基づいて調停を行い、公開審理、二審を最終審とするなどの民事訴訟の基本原則と制度を確立している。また、訴訟当事者の訴訟の権利と訴訟義務を明確にし、証拠制度を規範化し、第一審の普通手続、第2審手続、簡易手続、特別手続、審判監督手続などの民事審判手続を規定し、また執行手続、強制執行措置に対する明確な規定を行った。
中国は行政訴訟法を制定し、「人民が役人を起訴できる」という法律救済制度を確立している。行政訴訟法は、公民、法人とその他の組織は自分の合法的権益が行政機関およびその職員に侵害された場合、法律により人民法院に行政訴訟を提起できると明確に規定している。人民法院は法律により行政案件に対して独立して審判権を行使し、公民の合法的権益を保障する。行政訴訟法が公布、実施されて以来、毎年平均10万余件の行政案件が受理され、公民の合法的権益を保障し、行政機関が法律により行政の職権を行使することを促進している。 中国は仲裁法を制定し、国内の仲裁と渉外仲裁機構の設立を規範化し、仲裁委員会が独立した行政機関であると明確に規定している。機構の設置においては、仲裁委員会の独立性を保証し、自らの意志、仲裁の独立、一審終審などの原則を仲裁の基本原則と明確にし、仲裁手続を系統的に規定した。仲裁法の公布、実施いらい、仲裁した各種の経済紛争はあわせて50万余件で、案件をめぐる金額は7000億元以上に達する。民事経済紛争を公正、迅速、効果的に解決し、当事者の合法的権益を保護し、社会経済秩序の安定と社会の調和の促進を守るうえで積極的な役割を果たしている。 人民調停は中国の特色ある矛盾の解消、紛争の解決を行う非訴訟の紛争解決方法である。中国の憲法、民事訴訟法は人民の調停の性質と基本原則に対して規定を行い、国務院は人民調停委員会組織条例を公布し、人民調停活動はたえず発展をとげている。2009年、人民調停組織は民間の紛争767万余件を調停し、調停成功率は96%以上となっている。さらに人民調停活動を推し進め、人民調停制度を整備するため、中国は人民調停法を制定し、人民の調停活動で長期的に積み重ねてきた経験、望ましいやり方を、法として制定している。現在、中国には人民調停組織が82万余あり、人民調停員は467万余人で、広大な都市と農村の人民調停活動のネットワークをカバーし、民間紛争を予防し減らし、社会の矛盾を解消し、社会の調和と安定を守るうえで重要な役割を果たしている。 そのほかにも、中国は引渡法、海事訴訟特別手続法、労働争議調停仲裁法、農村土地請負経営紛争調停仲裁法などの法律を制定し、訴訟と非訴訟の手続の法律制度を整備し健全なものにしている。 上に述べた法律部門が確立した各法律制度は、法律で社会関係を調整する各方面をカバーし、国の諸活動、社会の各方面を法治の軌道に組み入れ、法律によって国を治め、社会主義法治国家建設の確固たる基礎をうち固めている。法律はすでに中国の公民、法人とその他の組織がさまざまな矛盾と紛争を解決するうえで重要な手段となっており、中国の各クラスの人民法院が公民、法人とその他の組織の合法的権益を守るうえで、必要なよりどころとなっている。