米大手格付け会社スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)はこのほど、日本の中長期的な経済成長の見通しが悪い場合、その格付けを引き下げると警告した。一方、日本国内では今年中国を抜いて世界第二の経済大国の地位を取り戻すといった声もある。日本経済にはなぜこうした2つの異なる声があるのか?
確かに日本経済の動向に関して、国際社会で最近様々な声が聞かれる。米誌「Atlantic Monthly」は、日本は津波の後、原発建設計画が棚上げされ、大量のエネルギー輸入によって日本は海外に借金せざるを得ない情況に近づいていると指摘。日銀が大胆な決定ができなければ、この世界的な債務危機が次は日本を襲う。少子高齢化、経済成長の鈍化、巨額の債務が昨年秋に重なり、イタリアの債務は持続不可能なレベルに押し上げられた。こうした要素は日本にも当てはまるが、なぜ日本の債務違約問題について誰も議論しないのか?としている。
同文章の作者は日本人なのか、或いは日本政府に雇われたのか分からないが、また煙幕弾が撒かれた。まだ記憶に新しい煙幕弾は01年3月、宮沢喜一元首相が自ら日本経済は崩壊に直面していると宣言、「日本経済崩壊論」が世界を風靡して大幅な円安となり、日本の輸出が急増した。1997年アジア金融危機後に見られた、東南アジア各国の輸出拡大の勢いを抑えた。
日本はプラザ合意で円高が進み、輸出にブレーキがかかった。いわゆる「失われた20年」は国際的な圧力に対して放った煙幕弾だった。事実、円高による為替相場の高止まりによって日本の産業と金融投機が早くから海外に移転。以前は原材料を日本に輸入して製品を生産した後、再輸出する経済成長のパターンだったが、原材料の産地または製品の消費国で生産・販売するようになった。海外企業の売上高だけで、プラザ合意前の1000億ドル以下から毎年3万ドル、海外資産は2000億ドルから今では5万6000億ドルに増加。一方、国内経済は依然として成長を続けている。
よく取り沙汰される日本国債の問題に関してはまったく外部の誤解といえる。日本の国債データは累計数、いずれも増益型国債で、発行される国債が毎年生み出す利益は元利払のほかに利益剰余金がある。日本国債は毎年の運用状況を調べることができる。債務で債務を補い、国には負担がかからないばかりか、利益まで出している。西側諸国が発行する公共消費型国債、つまり納税者の税収で返済するのとは違う。しかも日本は国債違約のリスクがないだけでなく、問題があったとしても、負債を回収すれば赤字の穴を埋められる。日本国債の違約を警告するのは、よく理解していないか、他によこしまな考えがあるかだろう。
世界第二の地位を取り戻す問題については、日本にとっていとも簡単なことだろう。わたしは様々な場で繰り返し話しているが、日本経済は国内のGDPだけではなく、その世界における産業と効果も考えなければならない。国がGDPを争う必要があれば、日本企業の海外の売上データを本社名義にすればいいだけのことだ。(作者:唐淳風・商務部研究院日本問題専門家)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年3月15日