英『フィナンシャル・タイムズ』WEBサイト4月8日掲載文より
1953年のロマンス映画『ローマの休日』では、グレゴリー・ペックのおしゃれなセンスのよさが印象に残っている人も多いだろう。その彼が、10日前に中国の首都で再び姿を現した。北京飯店の巨大スクリーンに映ったペックはゆっくりと観客の方へ歩いていく。しかし突然スクリーンが真っ暗になり、そこには、白いカシミヤのコートを着た中国人モデルがT字型の舞台を歩いていた。
これは、中国の紳士服ブランドSheJi-Sorgereが行った初のファッションショーイベントである。このブランドは中国服装股份有限公司(中国服装株式会社)に属し、製品は中国で設計されるが、生産はイタリアで行われる。ラグジュアリー製品業界の経営幹部達は、イタリア産中国ラグジュアリーブランドの誕生は強烈なシグナルである、つまり世界第二位の経済大国が今、ヨーロッパの工業に巨大な影響を与えていると口をそろえる。
中国のラグジュアリー製品市場は最新の流行やブームをリードしているだけではない。去年プラダが香港で上場したように、ラグジュアリーブランドの中国の需要に対する熱い思いが、その上場や生産拠点を考える上で非常に大きな影響力を持ってきている。業界内レポートによれば、中国の消費者はその他の国の消費者以上に、「MADE IN ITALY」や「MADE IN FRNCE」であるかどうかにこだわりを持っているのだという。