日本の軍事力の強化は、日本が主要同盟国である米国との協力を放棄することを意味するものでは決してない。日本は引き続き米国と共同でミサイル防衛システムを構築し、朝鮮や中国からの攻撃に備える構えだ。この二国は、日本を粉砕することが可能な大量の中距離弾道ミサイルを保有しているからである。
日本にとって、米国は工学技術や組織管理技能を含む先進技術の源泉である。これによって、最新鋭の兵器を生産し、米国と匹敵する自己防衛能力を確立することも可能である。
日本はまた、韓国、インド、オーストラリアなどの米国と仲が良い、あるいは米国と同盟関係を結んでいる国との協力を行っている。世界地図を仔細に分析すると、独特な「民主安全の弧」が形成されつつあると断言できる。この「弧」は、米国の同盟国や中国の実力が日増しに強くなるのを懸念する国を結ぶものである。
現在形成されている情勢はロシアにとって非常に有利である。主なプレイヤーの注意がロシアから遠く離れた地域に集中しているため、ロシアの国境付近に対する中日から圧力が減少しているからだ。ロシア国内の多くの人は依然として中国に対し懸念を抱いているのである。
また、米ロ関係の改善も、日ロ両国の南千島群島(日本では「北方四島」と呼ばれる)問題について衝突が起こる危険性を大いに低めている。日本はこれらの島を自国の「北方領土」であるとしているが、米国の同意を得ずに南千島群島の情勢を激化させることはないからだだ。
日本がいまどの方向を重視していようとも、日本の自衛能力は拡張しており、そのこと自体が潜在的な脅威となる。よって、千島群島の発展計画を発表し、その防衛を強化することは目下のロシアにとってもっとも賢明な行為である。中日間の競争の結果がどうであれ、ロシアの極東における利益は確かな保障が必要なのである。(筆者:ロシアの軍事評論家)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年1月25日