文=コラムニスト・陳言
◇地震発生9秒前に送信された新幹線指令センターへの警報
最近、日本での取材期間中に2度、新幹線内で地震に遭った。
一度目は東京から福島へ向かう途中、数日の取材で疲れていた私は乗車後すぐにうとうとし始めていた。突然、私の携帯が鳴り出したかと思うと、車内の他の人々の携帯も同じように鳴っている。それは地震速報メールだった。
見ると、3秒後に地震が来るという。3秒なんてメールを読む間に過ぎてしまう。しかし社内で揺れは感じず、ただ新幹線が完全には止まらない程度にスピードを落としただけだった。後で聞けば、震度3ほどの地震だったようだ。
2回目は福島から東京へ戻る途中、その時もまた居眠り中だったがマナーモードに設定していた携帯がポケットの中で激しく振動し、他の乗客の携帯も鳴り出した。やはり地震速報メールで、前回と同じように新幹線のスピードが落ちた。
3月11日、新幹線指令センターへ警報が送られたのは、マグニチュード9.0の地震が発生する9秒前だった。
わずか2秒ほどで新幹線の全ての変電所が列車への送電を停止し、更に運転手が手動ブレーキをかけたことで、日本東北鉄道を270kmのスピードで走行していた新幹線は、1件の追突や落橋、乗客の死亡事故も出すことはなかった。
◇新幹線「安全神話」の前提