東京大学生産技術研究所は5月28日、同研究所のチームが水に溶けた放射性セシウムを取り込むことができる布の開発に成功したと発表した。
同研究所の迫田章義教授が率いる研究チームは、新技術によってセシウムを吸着する効果がある顔料「プルシアンブルー(PB)」を布の繊維に固定することに成功した。この方法で製造された縦60cm×横40cmの薄布は、10ℓの水中に溶けているセシウム10mgを99%吸収することが可能だ。また、布を塩化鉄溶液に浸すと、セシウムをほぼ100%近く吸収することができるという。この布は、雨水貯水池の雨水や、建物の洗浄に使用された汚染水の除染に応用されることが期待できる。
研究員は、土壌の中の放射性物質の吸収についても考慮し、汚染土壌の場合は、まず放射性セシウムを吸収しやすい表土を洗い流し、肥料溶液を加えて加熱、するとセシウムが分離しやすくなり、セシウムが含まれた上澄み液ができる。この上澄み液に「除染」布を浸すことで70%程度のセシウムを除去できるという。
研究チームは布の吸収率と吸収量の更なる向上を目指し、福島大学などの研究機関と引き続き放射性汚染物質を除染できる実用的な材料の研究を行う。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年5月29日