資料写真:東京大学の食堂
ヨーグルトサラダ、カレー牛、味噌汁、そして冷奴、志村真弓さんはセルフサービスコーナーから素早く自分の好きなおかずを選び、会計を済ませて食堂の空いている席に向かう。東京大学の駒場キャンパスでは、夏の午後に人が集まる場所のひとつがこの食堂である。「食べ物があって、タダで水が飲めて、ソファーでのんびりくつろげるから、大好き。」と彼女は言う。
東京には130以上の大学が存在するが、それぞれの食堂の特徴はなんと言ってもその「安さ」にある。更に今の少子化時代にあっては、多くの大学において「ものの良さ」や「環境美」も、学生を引き付けるための新しい方向性となっている。大学における食堂の重要性が増すにつれ、多くの大学ではそのメニューや味つけに心血を注ぐだけでなく、こだわりの新設備を導入し、食堂の雰囲気やサービスの向上に一役買っている。
◇人を呼び込むには、まずその胃袋から
資料写真:食事中の東洋大学の学生
毎年7000名ほどの新入生を迎える東洋大学では、学生食堂がすでに学校の一大特色となっている。大学側もその食堂が注目を集めるにつれ、「本校に入学を希望する高校生やご家族の皆さんがどんどん増えていくことを願う」としている。また、同大学は今年11月に完成する新校舎の地下にも600名を収容できる食堂を設置し、地上一階には高級レストランを設け、食にこだわる学生たちの要望に応えようとしている。
日本経済新聞の報道によれば、東洋大学のように食堂に力を入れる大学はますます多くなってきているという。豊富なメニューに加えて、一部の大学では食堂全体の環境やハード面も重視している。今年4月、東京に近い埼玉純真短期大学は、数千万円を投じて食堂の全面改装を行った。「改装後は、カフェ風の白いテーブルや布張り椅子によって食堂全体が上品に見えるようになりました。」同校の藤田利久校長は言う。「私たちの目標は学生が毎日でも来たいと思う食堂作りです。」藤田校長によれば、食堂を目玉に新入生募集PRを行ったところ、オープンキャンパスに参加した人数は去年の2倍にも達したという。
◇美食戦線の裏で深刻化する生存危機