政権を奪還して間もない安倍内閣は、日米関係の立て直しを外交策の柱に据えており、関係の強化に勤しんでいる。では、日米同盟の信頼関係を揺るがす原因を作ったのは一体何か。
一、歴史認識問題に対する安倍晋三首相の姿勢に、アメリカは不安を感じている。民間のシンクタンク「米戦略国際問題研究所(CSIS)」のアジア問題専門家であるマイケル・グリーン氏は先般、仏AFP通信の取材に対し、「安倍首相が歴史問題において、強硬路線を進むなら、アジア太平洋地域を重視するアメリカの外交戦略にとっては懸念事項となる。特に、同盟国でもある日本と韓国との関係については、悪化する可能性もある」と指摘した。米外交政策分析研究所・アジア研究チームの責任者は「アメリカの指導者らは、安倍首相の歴史修正主義の方向が、アジア地域の情勢をより一層深刻な局面に陥れるのではないかと心配している」との見方を示した。
二、軍拡を推し進める安倍首相の「暴走」を、アメリカは危惧している。米国防総省の元職員であるカーネギー国際平和財団の上級客員研究員のジェームス・ショフ氏は先般、「安倍首相の軍拡の重点は、中国に対抗するための攻撃力を強化することであり、アメリカの立場から言えば、その動きは問題をより複雑にする恐れがあり、利益よりも失うもの方が大きくなると懸念している」と指摘。安倍首相は実際、就任後に防衛省の最高指揮官としての権限を最大限活かし、民主党政権が打ち出した『防衛計画の大綱』(防衛大綱)と『中期防衛力整備計画』(中期防)の見直しを相次いで決定し、更には軍事予算の大幅な拡大、米軍の新型輸送機オスプレイの配備、米軍の最新鋭無人偵察機グローバルホークの導入などを進めている。全ては、中国と朝鮮をけん制するためであり、東アジア情勢の緊張が高まっている。そして、日本のこれらの動きは、オバマ政権が重視するアジア太平洋地域の安定に悪影響を与えるものである。アメリカは、日本のために軍事衝突が発生する事態に追い込まれたくないと考えている。