日本政府は2012年9月に釣魚島「国有化」という行動をし、中日の政治関係は国交回復後最悪の状態に陥った。釣魚島紛争において、中日双方が新しい現実を直視する必要があると思う。
直視すべき現実とは以下の4つである。
1. 釣魚島を日本が一方的に統治する状態から中日双方がそれぞれ統治する状態に変わった。中国政府は釣魚島での権益維持のための巡航・法執行活動を常態化させ、世界に中国は自身の領土で有効的な管理を行っているという事実を示した。
2. 安倍政権に「国有化」の過ちを正すよう求めることはほぼ不可能である。近年、日本の政界は非常に乱れ、右傾化が目立ち、民族主義勢力が強まっている。安倍政権は日本社会の右翼勢力の代表である。また、日本国内の理性、正義の力も次第に弱まっている。日本が領土紛争で中国に強硬姿勢を示すのは、米国のアジア太平洋回帰戦略に合わせるためでもある。米国は釣魚島問題において、これまでの曖昧な政策を変えて日本の右翼政府を後押ししている。米国は、日本の中国に対する強硬姿勢を支持、黙認する役目を担っている。
3. 中国政府が「釣魚島紛争」で譲歩する可能性はない。半年以上にわたる駆け引きと力比べを経て、日本側は中国政府と民衆の領土主権維持における決意と実力を見たに違いない。中国国内の民意の基礎は固まり、どの指導者も民意に背いて「釣魚島紛争」で妥協し譲歩する気はない。中国は国防力を高め、領土主権を維持する物質的基盤を備えている。
4. 長期にわたる深刻な対立は両国の根本的利益に合致しない。釣魚島紛争の勃発後、政治関係が冷え込む中で経済関係も大きな影響を受けた。毎日新聞の報道によると、第1四半期の中国の対日輸出は前年比3.6%減、対日輸入は16.6%減、中日間の貿易額は10.7%減だった。ここから、中日関係の持続的な悪化は双方の根本的利益に大きく影響することがわかる。
そのため、中日双方の政治家は、「両国は永遠に隣り合う」「両国は付き合わないわけにはいかない重要な経済協力パートナーである」「釣魚島問題が中日関係のすべてではない」「長期にわたる全面的な対立はそれぞれの根本的利益に合致しない」「矛盾を激化させ戦争に向かえば、想像するだに恐ろしい結末を迎えることになる」という5つの現実と悪影響をはっきり認識しなければならない。(文:国務院発展研究センター 董永裁研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2013年5月4日