安倍政権の集団的自衛権の解禁が、法的な裏付けを得られるかは未知数とされているが、この門がひとたび開かれれば、津波のように恐ろしい衝撃をもたらすだろう。日本国内の反対派は、これを覆すことが困難だ。東南アジアの一部の国の態度により、「解禁」の勢いがアジアの安全枠組みを脅かしている。南中国海の安全情勢は、さらに悪化するだろう。
安倍首相の解禁に対して、東南アジア諸国の反応には差が生じており、大まかに次のように分けることができる。
(一)反対派。カンボジアがその代表格だ。安倍政権の東南アジア政策は、カンボジア抱き込みを再重視していた。安倍首相が解禁の演説をする前、岸田文雄外相は6月30日にプノンペンを訪問し、ハオ・ナムホン副首相兼外相と会談を開いた。岸田氏はマスコミに対して、ハオ・ナムホン氏が集団的自衛権の解禁を支持したと表明した。カンボジア外務省はこの情報を受け、「ハオ・ナムホン氏と岸田氏の会談の際に、自衛隊や集団的自衛権について触れられることはなかった。日本側のデマ、是非の混同に反対する」と直ちに発表した。カンボジアの厳しい口調の反論は、日本の集団的自衛権の解禁に強く反対している。これはすべての正義の力の支持を受けるべきだ。
(二)沈黙派。安倍首相の解禁に対して、東南アジアの多くの国は声を出さず、集団的な沈黙に陥ったかのようだ。安倍首相への賛同とは言えないが、この沈黙は賞賛すべき政治的態度とも言えない。シンガポールの指導者は昨年、日本との歴史問題はすでに解決していると表明しており、今の沈黙も政策によるものだ。日本の侵略者はかつて東南アジアの多くの地域を蹂躙した。東南アジアの一部の国は、抗戦英雄の多くの記念碑を立てている。一部の人が重大な原則を前にして遅疑を示しているが、これには懸念を禁じ得ない。