日本政府は3月31日に「この時期に(AIIB)加入を表明することはない」と明言し、多くの日本メディアから批判された。米国のサマーズ元財務長官も、米国政府の傍観を批判した。アジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設に向けた作業がラストスパートの段階に入り、出資比率や発言権の分配、融資審査基準、価値観の対立といった課題への対応が、人々の憶測の中心となっている。
東京新聞は31日、「アジア投資銀 国際金融秩序の転換か」と題した記事の中で、「中国主導のアジアインフラ投資銀行AIIBは、先進国から新興国まで広範な参加となる。米国内では外交上の判断ミスとの声が上がり、日本もアジアでの存在感低下の懸念がある。世界銀行、国際通貨基金を中心として米国が主導してきた戦後の国際金融秩序は歴史的転換点を迎えるかもしれない。日米のけん制にもかかわらず、英国やドイツ、フランス、イタリアの主要国や韓国、オーストラリア、さらには中国と領海争いを続けるフィリピン、ベトナムなども参加を表明した。それが国益にかなうとの判断からである。好むと好まざるとに関係なくAIIBは発足する。中国主導の運営体制に対し、外部からいくら注文を付けても実効性は望めないだろう。日本は対中国の緊張関係にとらわれ、世界の動きが見えていなかったのではないか。米国とともに行動すれば大丈夫という時代ではなくなったことを理解すべきである」と論じた。
豪紙は31日、「中国主導のAIIBが、未来のアジア経済において重要な存在になる。しかしアジアの政治・戦略的秩序にとってより重要なのは、その設立の過程だ。オーストラリアは加入の申請を行ったが、これはその外交政策に歴史的な変化が生じたことを象徴している。中国は過去数十年に渡るインフラ整備で手にした輝かしい成果により、一国の力でAIIBの設立に必要な資金と援助を集めた。このような迅速な手配りは、これまでどの国にも実現されなかった。米国はAIIBによって、中国がアジアにおける脅威になることを懸念している。米国はこの脅威を極力回避しようとしているが、これはオバマ政権のアジアリバランス戦略の目的でもある。しかし米国は戦略の重心の移り変わりを阻止することができない。アジアの経済秩序には、根本的な変化が生じようとしている」と報じた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2015年4月1日