米国の日本に対する恐慌については、上述した構造的な要素のほかに、当時の日米間の技術格差の縮小という事実を見落とせない。米ギャラップ社は日本の外務省から委嘱され、1983年に米国人を対象に世論調査を行った。それによると米国人の4人に1人が、ハイテク分野において「最大の脅威」である国は日本と回答した。米商務省が1983年に発表した報告書によると、5つのハイテク分野のうち米国がリードを保っていたのは航空機製造、航空・宇宙技術のみで、半導体技術、光ファイバー技術、スマート機械技術では日本に遅れを取っていた。米国の科学技術の相対的な衰退により、米国は高級軍事技術の面で日本への依存を強めることが不可避になった。半導体を例とすると、米国企業は70年代に世界半導体市場で圧倒的なシェアを占めていたが、1988年には36.5%に落ちた。日本企業は51%に達した。
日本は90年代に「バブル経済」崩壊により長い衰退期に入った。日本経済の衰退には内的要因があるが、米国の日本への圧力や制裁も無視できない外部からの影響力だった。日米貿易戦争が長期化し、貿易赤字問題は今日も両国関係を妨げる構造問題になっている。80年代の貿易戦争は日本にとって過去の教訓であり、現在進行系でもある。
そのため中米両国の貿易摩擦は持久戦になる。80年代の日米貿易戦争は一枚の鏡で、米国による乱暴な覇権と、追う者である日本が言いなりになっていたことを反映している。あれから30年以上たつが、米国はやはり当時のように横暴だ。日本はもはや大国の野心を持つ追う者ではなくなった。
中国にとって、米国の貿易戦争における常套手段と傲慢な態度を忘れることはできず、これを警戒する必要がある。米国の経済貿易政策における日本に対する圧力、それから日本の積極的もしくは消極的な対応は、30年後の中国にとって重要な意義を持つ。(筆者・王広涛 復旦大学日本研究センター副研究員)。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2019年6月19日