韓国を訪問するクリントン米国務長官
中国は周辺国家との領土問題を解決するため、或いは米国に少し教訓を与えるための手段として、空母等の海軍を利用することはないのだろうか。もし、その衝突規模を中国側でコントロールすることができ、それによって覇権国家の中国に対する戦略的譲歩を獲得できるなら、そのリスクを犯すだけの価値はあるといえる。しかしながら、その衝突の激しさは、中国側の判断だけで決定できるものではなく、またその政治的効果は全世界に波及するため、中国の世界各地における利益が、それによってどのような影響を受けることになるか、全く読めない状況に陥ることとなる。よってこの方法は「中策」としては使えるかもしれないが、中国は慎重に慎重を重ねるべきだ。
空母はそれを使用するために建造されるものだ。ただし、それは中国の戦略的抑止力や平和的防衛力を高めるような使い方でなければならない。言い方を換えれば、中国空母が担う役割は、国際的紛争を取り除くための一助となることであり、直接具体的な問題解決に「参入」することではない。これこそが、中国の空母使用における上策である。
かといって、中国における全ての海上問題を空母が一気に解決してくれるわけではない。中国台頭に関わる海上障害の除去は、中国のソフト面を含む国力の総合的成長に、英知と豊かな想像力を持つ外交力を合わせることで、一歩一歩実現していくしかない。