米国「ニューヨークタイムズ」サイト6月22日付け記事。原題「High-Speed Rail Poised to Alter China」
京滬高速鉄道の正式運営を間近に控える今、拡大を続ける高速鉄道のネットワークに対する批判の声がいまだに絶えない。高いコスト、高い料金、建設の質、元鉄道部長の汚職疑惑などが批判の的となっている。
しかし、こうしたさまざまな物議の中、この世界最先端の高速鉄道システムが中国にもたらず実経済効果や、欧米に対する挑戦が見過ごされているのではないだろうか。
米国は50年前に各州をつなぐ国道ネットワークを構築し、全国範囲で現代商業の発展を促した。中国が推し進めている高速鉄道発展計画も同じ思考で、広い国土と多くの人口を持つ国の経済一体化を目指している。米国の1950年代の計画に比べれば、中国のほうが建設テンポが速く、高速鉄道の時速ももっと速いだろう。
路線ごとに10万人の労働者が投入され、わずか6年間で全長1万6000キロの高速鉄道ネットワークの半分を仕上げた。そして、京滬高速鉄道も含め、多くの路線が工期を前倒しして進められている。まだ建設中の線路もあるが、ネットワークは2020年中にすべて完工の見通しだ。
欧米にとっては、彼らが驚きを示す共産党式の建設速度だけに止まらない。時速320キロの列車が各省や市をつなげ、中国の生産力と世界への輸出能力はより増強されるだろう。
ここ3年間で、高速鉄道が走る内陸都市の不動産価格や投資額は共に急上昇。企業はこれらの都市に雪崩を打って参入している。高速列車に乗れば中国の最も活気があり、最も国際化された大都市に数時間以内で行けるのだ。
また、旅客輸送が高速鉄道へシフトするに従い、旧路線は貨物輸送で活用できるようになる。これで、石炭や貨物を輸送する会社は、コストが高いトラックから解放され、安価な鉄道を利用することができるようになる。
世界銀行の予測によると、上述の変化の他、さらに多くの貨物輸送線路の開通に加え、中国鉄道システムの2011年の貨物輸送増加量は、英・仏・独・ポーランド四カ国2010年の貨物輸送量の総計に相当する規模になるという。
総延長1320キロの京滬高速鉄道の開通により、高速鉄道ブームがさらに高まり、西側諸国との競争もますます激しくなるだろう。
中国の高速鉄道への巨額投資は、米国にとっても刺激になる。米国の鉄道投資の支持者にとっても、高速鉄道を無用と見る批判者にとっても同様に啓発となるだろう。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2011年6月24日