四、対外貿易の基本的にバランスのとれた成長を促進
その国の対外貿易が貿易黒字であるかまたは貿易赤字であるかは、主にその経済構造および製品とサービスの国際競争力によって決まるものである。中国は対外貿易の貿易黒字を意識的に追求しているわけではない。中国のサービス貿易にはなが年らい一貫してある程度の貿易赤字が存在していた。中国の貨物貿易は1990年以前の数年間ではいずれも貿易赤字であった。1990年以後、大規模な国際的産業移転を受け入れるに伴って、工業完成品の競争力が増し、輸出の伸び率が輸入を超え、中国の貨物貿易は全般的貿易赤字から全般的貿易黒字へと変わっていった。
2005年に中国の貨物貿易の貿易黒字は初めて1000億ドルを突破し、4年連続して大幅な上昇となった。2008年に中国の貨物貿易の貿易黒字は史上最高の2981億ドルに達し、その後上昇幅がちくじ鈍化した。2009年と2010年に、中国の貨物貿易の貿易黒字はそれぞれ1957億ドルと1816億ドル、前年比それぞれ34.4%と7.2%に下がった。2010年に、中国の貨物貿易の貿易黒字は輸出入総額の6.1%、GDPの3.1%を占めた。世界の貿易差額(貿易黒字または貿易赤字)最大の9カ国の中で、中国のこの2つの比率は決して高すぎるレベルにあるものではない。
中国の貨物貿易の貿易黒字は現段階の中国の国際分業における地位を反映している。中国は現在工業完成品の加工・組立の各生産段階で比較的大きな優位性を持っており、最大の工業品生産国と輸出国である。アメリカ、EU諸国が最も主要なターミナルの消費市場である。大量の労働力密集型加工・組立の一貫生産は日本、韓国、シンガポール、中国台湾、中国香港などから中国へ移転したため、これらの国や地域の本来の対アメリカ、EUの貿易黒字も中国へ移った。その結果、現在中国の貨物貿易の貿易黒字は主に中米貿易、中欧貿易との間に存在し、中国と日本、韓国、ASEANなど工業中間製品の主要な生産国は長期の貿易赤字にある。2010年に、中国の対アメリカ、EUとの貨物貿易黒字はそれぞれ1813億ドルと1428億ドル、対日本、韓国およびASEANとの貨物貿易赤字は合わせて1416億ドルで、中国大陸の対台湾地区の貨物貿易の貿易赤字は860億ドルであった。中国の生産と輸出の工業完成品は初級製品の大量輸入が必要で、それによっていくつかの初級製品輸出国との貨物貿易には貿易赤字が現れている。まさに現段階の中国の製造業とサービス業の国際分業に参加するレベルと地位には違いがあり、中国の貨物貿易は大きな貿易黒字が存在しており、サービス貿易には長期的に貿易赤字が見られる。