中国は現在、工業化の急速成長期にあり、先進国の先端設備とハイテク技術に対して比較的大きな輸入需要がある。しかし一部の先進国は依然として古い思考を固持し、最先端装備とハイテク技術製品の中国への輸出に多くの制限を設けており、その結果、関連製品の中国への輸出においての伸びが遅いことになっている。これは一定の程度で中国がそれらの国から輸入することを妨げ、二国間貿易のバランスにとってもマイナスとなっている。 中国の貨物貿易が貿易赤字から貿易黒字へと転換したことは、中国の国際収支の状況を改善し、中国の外部からのリスクに対する防御力を強めている。しかし急速な貿易黒字の拡大は中国経済に困惑をもたらしている。輸出外貨為替決済のための人民元が大量に投入されることによりマクロ経済コントロールの難度と複雑性が高まっている。貨物貿易の貿易黒字の急速な拡大はまた中国と一部の貿易パートナーとの貿易摩擦も増やし、持続的で比較的大きな人民元の切り上げ圧力が形成されている。
中国政府は対外貿易発展におけるアンバランス問題を高度に重視し、貿易黒字の速すぎる伸びを抑制する一連の政策措置を講じている。①経済構造を積極的に調整し、内需拡大に努め、特に民生改善への投入を増やし、住民の消費の伸びを刺激している。②一連の輸入拡大政策を打ち出し、輸入管理と輸入の外貨支払い手続きを簡素化し、一部商品の輸入暫定税率を引き下げ、輸入促進システムを整備し、輸入の利便化の度合を高めている。③輸出税還付政策を調整し、一部のエネルギー多消費、汚染物質排出量が多く資源消費型の製品の輸出税還付の引き下げ、あるいは廃止を前後して行っている。④加工貿易禁止類と制限類リストを修正し、禁止類の範囲を拡大し、加工貿易の形態転換とグレードアップを促進している。⑤アジア金融危機以後、人民元の対ドルレート幅が狭まった状況を変え、2005年7月21日から市場の需給を基礎とし、通貨バスケットを参考に調整を行い、管理のある変動為替相場制度を実行している。2005年7月から為替レートメカニズムを改革し続け、2011年8月末に至るまでに人民元とドルの名目為替レートは約30%上昇した。 中国の対外貿易のバランスのとれた増大を促進する措置は目に見える成果を収めている。貨物貿易の貿易黒字は2009年いらい減少を続け、貿易黒字と輸出入総額とGDPとの比率は2008年よりちくじ下がり、対外貿易は現在バランスのとれた状態に向かっている。中国のこれらの努力は中国自らの経済発展の要請であり、また世界の経済構造調整と再びバランスをとるための具体的行動である。