日本の国技、相撲は中国でも広く知られている。1972年、中日の国交が回復すると、中国は大相撲を中国巡業に招いた。1973年4月3日、大相撲の一行が北京に到着し、北京と上海で興行を行って、中国の観衆の熱烈な歓迎を受けた。周恩来総理は大相撲を観戦し、力士たちとも会見している。
2004年6月3日、日本の大相撲が民間の平和の使者として再度中国の招きに応じ、中国興行を行った。代表団の中で唯一1973年の中国場所を経験している日本相撲協会の北の湖敏満理事長は、「31年振りにまた北京に来ることができ、非常に光栄に思うと同時に、その責任の重大さを感じています。中日の善隣友好関係の更なる促進に貢献できれば、私たちも嬉しい」と、語った。
興行の前日、一行は天安門、故宮、長城などの名所を観光した。八達嶺長城では観光客が写真を撮ろうと押し寄せたが、力士たちは微笑を浮かべ、カメラに一緒に収まってほしいと言う要望にも気軽に応じていた。そんな騒ぎの中、一人の知的障害を持つ少年は記念写真を頼みたくてもなかなか言い出せずにいた。力士たちはそれに気づくと、少年を微笑みながら囲み、周囲の人に撮影を頼んで記念写真を撮った。31年前、日本の力士が長城を観光したとき、周恩来総理は下駄履きでは不便だと思い、彼らのために布靴を用意させている。当時の力士たちは布靴を履いて長城を登っていた。
6月5日、北京興行の初日の入場券は瞬く間に売り切れ、入場券を入手できなかった北京市民は、テレビの前で迫力ある取り組みを観戦した。その後、一行は次の興行地である上海に向かい、ここでも熱烈な歓迎を受けた。上海興行の後、観光で東方明珠テレビタワーを訪れた力士たちを、楽隊は日本の歌謡曲『北国の春』を演奏して迎えている。また、長江以南の地方の古典庭園として知られる豫園では、力士たちは中国画が描かれた団扇などの工芸品をわれもわれもと購入し、持参したカメラで伝統的な石造りの橋やモダンな高層ビルを背景に交互に記念写真を撮っていた。
中国人民対外友好協会の陳昊蘇会長は、「大相撲の興行を観ると一種の懐かしさのようなものを感じます。中日両国人民の友好関係が子々孫々発展していくことを祈っています」と、大相撲に寄せる思いを語った。
大相撲の中国興行は短いものであったが、中国人民に残した印象は深い。中国人民は、再び彼らに会える日を待ち望んでいる。
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