2005年3月31日、中国外交部の記者会見で、日本の記者が、中国の卓球スーパーリーグに参加するため、中国遼寧省の卓球クラブと契約を結ぼうとしている日本の卓球選手、福原愛選手についての中国側の論評を求めた。これに対し、外交部の劉建超スポークスマンは、「福原愛選手は日本のスポーツファンの間で人気があるが、中国でも同様に人気があり、中国の多くの卓球ファンも大歓迎している。我々は福原愛選手の中国クラブチーム加盟を歓迎するし、彼女が中国で楽しく生活し、よい成績を上げることを願っている」と答えている。
4月1日、記者会見の翌日、福原愛選手は遼寧省本渓市で遼寧省の本鋼卓球クラブと正式に契約を交わし、彼女のアイドルである卓球の世界チャンピオン、王楠選手とダブルスを組んで、2005年の中国卓球スーパーリーグに出場することになった。
2005年6月5日、試合会場に現れた福原愛選手と王楠選手は、スーパーリーグの一回戦の焦点になった。福原選手と王楠選手はペアの練習を二日間しかしておらず、監督は二人のコンビネーションに一抹の不安を持っていた。しかし、彼女たちはゲームで完璧なコンビネーションを見せる。一人は背が高く、一人は背が低く、一人は右手使い、一人は左手使い、福原愛選手と王楠選手は軽々と相手ペアを破り、中国スーパーリーグで最初の勝利を挙げた。
17歳にも満たない福原愛選手は、子供らしい天性の愛らしさを随所にのぞかせる。中国人記者の取材を受けたときも、標準の中国語を話していた彼女が突然地元仕込みの東北なまりの言葉を使い、記者たちをビックリさせるという一幕もあった。
色白の丸顔に大きな二重の目、笑ったときの口元がアニメのキャラクターのように愛らしい福原愛選手は、試合会場以外でも中国の卓球ファンに人気がある。「磁娃娃(磁器の人形)」は、中国では色白の美少女に対する愛称である。中国メディアは、ゲームに負けては涙を流す可愛らしい福原愛選手に「磁娃娃」のニックネームを贈った。現在、中国の卓球ファンの間で「磁娃娃」は、福原選手専用の愛称になってしまった。
福原愛選手は5歳の時から中国での卓球修行を開始し、韋晴光、呂林、陳竜燦ら中国のコーチの指導を受けた。このため、「磁娃娃は、日本生まれの中国育ち」と、彼女のことを表現するメディアもある。
中国で開催された第48回卓球世界選手権に出場した福原選手は、日本を離れる前日の2005年4月23日、駐日中国大使館に王毅大使を訪ね、長年指導してくれた中国のコーチに対する感謝の気持ちを表した。この日、福原愛選手は中日両国の国旗がプリントされたスポーツウエアを着用し、記者に向かって自らが書いた「中日友好」の四文字を示した。機転の利く少女は中国の卓球ファンに対し、「中国の観客の皆さんは中国チームだけでなく、私にも拍手してくださいね」と、小さな要望を出している。
世界卓球選手権女子シングルで福原愛選手がサーブをすると、記者は一斉にシャッターを切り、彼女の動きを追った。福原愛選手がスマッシュを決めると、中国の観衆も一際大きな拍手と喝采を送り、「磁娃娃」を応援した。
強豪が揃った中国女子チームと当り、福原選手は第3試合で中国の郭エン選手に敗れた。しかし、「磁娃娃」が中国で示した負けん気と試合会場での真摯な姿勢は中国人に好感を与え、同じく中国で開催された世界卓球選手権に出場した外国人選手卓球界の永遠のスターであるワルドナー選手や、男子シングルのタイトルチャンピオンのシュラガー選手など、ヨーロッパの名選手をも凌ぐ人気選手になっている。
|