中日両国の財政・金融当局は5月29日、上海、東京の両市場で6月1日から人民元と日本円の直接取引を開始すると発表した。円は米ドルに続いて人民元と直接交換できる2番目の主要通貨になる。日本メディア、経済界、学界はこれを歓迎し、中日両国のウィンウィンを実現するとの見方を示した。
2011年12月、日本の野田佳彦首相は訪中した際に中国の温家宝総理と会談し、両国の国債の相互持ち合い、通貨の直接取引の実現を含む金融分野の協力を強化することで合意した。両国の財政・金融当局は今年2月から人民元と日本円の直接取引に関する協議を何度も行ってきた。現在、人民元と円の取引の多くが米ドルを介して行われている。上海外国為替市場では、人民元取引のうち99.3%がドルで行われ、円はわずか0.09%となっているが、この状況はまもなく変わることになる。6月1日以降、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行、みずほコーポレート銀行、みずほ銀行などの日本の大手銀行は、東京外国為替市場で実際の需給状況に基づいて算出された為替レートで円と人民元の取引を行う。また中国外貨取引センターは、上海外国為替市場で人民元の対円基準値を毎朝発表する数行の中国の銀行を指定する。
日本メディアは、日本円と人民元の直接取引を歓迎している。安住淳財務相は29日の閣議後、円と人民元が3つ目の通貨(米ドル)を介さずに直接取引できるようになれば、取引コストと金融機関の決済リスクを減らし、円と人民元の便利性を高め、さらに東京金融市場の活性化にもつながると語った。29日の東京株式市場は続伸し、日経平均株価は前営業日比63.93円高の8657.08円で取引を終えた。日経平均株価は22日以来、5営業日ぶりに8600円台を回復した。またこの日、日立建機、コマツ、JFEホールディングス、伊藤忠商事など中国市場と密接に関わる企業で上昇が目立った。中でも、日立建機は4%の上げ幅となった。
人民元と日本円の直接取引は企業の取引コストを削減し、中日間の貿易と投資を拡大するうえで大きな意味がある。日本貿易振興機構(ジェトロ)の統計によると、2011年の中日間の貿易額は3450億ドルと過去最高を更新した。中国は3年続けて日本最大の貿易相手国で、日本は中国の4番目の貿易相手国である。しかし、中日貿易の多くが米ドルで決済されている。アジア開発銀行研究所の統計によると、2011年に人民元建てで決済された中国の対日輸出は全体のわずか0.3%、日本からの輸入では1.7%だった。円建て決済の割合はそれよりやや高いが、それでも中国の対日輸出の2割程度にすぎない。中日両国の企業は取引時にまず米ドルに両替してから相手国の通貨に両替する必要があり、手続きが面倒なだけでなく、米連邦準備制度理事会(FRB)にも手数料を支払わなければならない。日本の共同通信は市場関係者の分析を引用し、日本円と人民元の直接取引が実現すれば、年間約30億ドルの手数料を節約できる見込みだと伝えた。また、直接取引は両国の企業の為替リスクと両替コストを減らし、両国間の貿易や投資を促進するだけでなく、円と人民元の国際金融市場における地位を高める役割も果たすとの見方を示した。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年5月31日