(三)「紋切り型」の手法により、各国の異なる主張を処理しようとしている。TPPの11の加盟国には、先進国と発展途上国が含まれ、同一の問題に対して異なる立場を持つことが多い。競争政策を例とすると、米国は国有企業に対して新たな要求を突きつけている(国有企業への補助金支給の停止、国有企業への政府調達の優先など)。大多数の発展途上国にとって、これらの要求は許容範囲からかけ離れている。
(四)米国国内政治からの制限。米国は交渉開始時より各国に対して、米国議会は力強い労働者・環境対策を持たないTPPを受け入れないと注意した。米国の目的は、発展途上国の優勢を弱め、米国の雇用機会を創出することだ。
TPPは、「21世紀の高基準を見据えた、全面的な自由貿易協定」と称されている。しかし現状を見る限り、TPPはいわゆる「20世紀」の伝統的な貿易問題において多くの「例外」を持つ、限られた自由化であると言える。「21世紀」、「国境内」の問題において、米国は極端な態度を示している。いわゆる高基準とは、実際には米国の基準であり、多くの国の実情からかけ離れたものだ。このような二元構造が形成された原因は、他国の利益を犠牲にし、本国利益の最大化を図ろうとする米国だ。このようなゼロサム・ゲームは、TPP交渉が長引いている根本的な原因だ。
今後9ヶ月は、TPP交渉の重要な時期だ。米国が柔軟性を見せず、10月末までに交渉を終了させなかった場合、長期的な膠着状態に陥るだろう。(呉正龍:中国太平洋経済合作全国委員会副会長)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年1月30日