日米両国関係において、「日米同盟の深化」は、日本新政権の宣言の要点だ。親しみを込めて日本を盟友と称することも、米国政府の一貫した立場だ。しかし日米の不一致に関することになると、国民の利益が蔑ろにされている。
日米政府はこのほど、沖縄の米軍基地の返還に関する計画を発表した。同計画によると、米国は2013年より条件付きかつ段階的に、嘉手納基地から南の6つの基地・施設を返還することになる。
これまで基地返還の問題を避けてきたことに比べれば、今回、安倍首相はせめて返還の期限を明示するという確かな進展を実現した。
日本人とは慎重に交渉しなければならない。日本人の言い回しには、「隠蔽」や「騙し」が多く含まれるからだ。今回も例外ではないが、ただし「隠蔽」や「騙し」の対象は日本人となった。同計画において、返還の期限の後ろに「以降」という言葉が追加された。また米軍の基地返還には、「沖縄米軍基地に代替施設を提供し、沖縄の米海兵隊を日本国外に移転する」という前提条件がある。
普天間基地移設問題を例とすると、同計画はその期限を「2022年以降」としており、期限が確定されているわけではない。いつ返還されるかは、基地がいつ人口の密集した宜野湾市から、人口の少ない辺野古沿岸に移設されるかによって決まるからだ。菅義偉官房長官が7日、辺野古は普天間飛行場移設に最も適した場所だと強調した理由は、ここからも理解できる。
つまり安倍首相の今回の成果は、再び米国と手を組むことで、沖縄県民に「絵に描いたもち」を示したに過ぎない。米軍基地が占有している土地は返還するか、という問題に対して、返還するという回答を与えたが、時期は早ければ2022年に、普天間基地は2028年にずれ込む可能性があるという。当然ながら、これも日本政府の提供する条件によって決まる。