7月の参院選で自民党は両院の多くの議席を確保し、安倍晋三首相の政権運営の基盤が固められた。しかし秋の臨時国会に入ると、大権を一身に集めた安倍首相は、福島原発の汚染水漏出、TPP交渉、周辺の緊張する外交情勢の改善などの内政・外交問題において目立った成果を挙げず、鳴り物入りで次の二つのことを進めた。一つ目は「搾取」で、来年4月に期限通り消費税を現行の5%から8%に引き上げることを決定し、政府の財布を満たそうとしている。二つ目は「武器調達」で、日本の軍拡を加速しようとしている。
安倍首相は国会答弁で、「日本の周辺安全保障環境は日増しに深刻化しており、大胆かつ戦略的な国家安保戦略の推進が必要だ。条件を整えるため、国家安全保障局の設立も欠かせない」と強調した。
安倍政権は日本版NSCの年内設立を目指しており、国家権力を首相官邸に集めようとしている。国家各機関の情報を迅速に収集し、周辺事態への対応の効率を引き上げるほかに、日本の中長期的な国家安全保障戦略の制定を急いでいる。
NSC法案は年内に国会で可決される見通しとなっている。しかし安倍首相はやや焦りを見せており、朝鮮のミサイルや中国の海上活動の脅威を誇張し続け、内外の不安なムードを形成し、国際社会においていわゆる「積極的な平和主義」の理念をセールスしている。その一方で自衛隊の武器の強化・更新の計画を、鳴り物入りで計画・実施している。