安倍政権は日本国民の反対と国際社会の強い批判を顧みず、集団的自衛権解禁の閣議決定を強行した。これは日本の「島の購入」、「参拝」に続く悪い動きで、日本で長年蓄積されていた社会的矛盾が示された。これには戦争と平和、人道と非人道、アジアの尊重と蔑視など、百年にも及ぶ日本の最も基本的で重要な是非の議論、戦後の国際秩序の基本的な枠組み、日本の位置づけなどが含まれる。
日本は均質化された社会で、排他的な島国根性を持つ。日本の近代史を見ると、外国との戦争が絶えず続けられたが、内戦は少なかった。世界の大国のうち、重大な革命の洗礼を浴びていないのは日本だけのようだ。ソ連解体後、日本国内では「西盛東衰」の現象により、進歩的な知識分子が輝きを失い、長期に渡る平和的・安定的な生活が保守主義の温床となった。さらに米国は戦後日本の改造において、自国の覇権の利益を守るため、進歩的な平和の力に圧力をかけ、保守的で聞き分けの良い政治勢力を支援した。これは日本の保守主義的な政治構造、国民の現状に甘んじ争いを避ける性格的特徴を形成した。
しかし現状に甘んじる日本人にも、一つの我慢の限界がある。彼らは戦争を嫌い、軍隊を好まず、日本国と自身が再び戦争に巻き込まれることを嫌がる。その原因は簡単だ。まずは歴史の教訓で、敗戦、特に核兵器の攻撃といった悲惨な教訓により、日本国民は「不戦」の認識を形成している。次に戦後の改造により、日本は政治体制・社会構造・制約のメカニズム・利益構造・価値観が戦前とはまったく異なる新しい国になった。日本人は、戦争を嫌悪している。日本が危険を冒そうとしても、今日の世界と東アジアには、これを制御する十分な力がある。日本人はこれを理解しており、安倍首相の逆行する措置に決然と「ノー」を突きつけている。
今回の「解禁」により、冷戦後の日本の保守的な思想が形成した表面的なバランスが打破され、国民の平和の願いと生存の利益が現実的な脅威にさらされている。彼らは日本が戦争と平和を股にかけることができず、是非の問題を避けては通れないことを認識した。6月の解禁以降、日本の世論調査は、安倍内閣の全体的な支持率が急低下したことを示した。特に安倍首相は手段を選ばず、中韓などの国との関係を悪化させる揉め事を起こし、改憲のために道を整え、日本人に馬鹿にされたような感覚を与えている。日本人は中韓に対する好感度は低いが、中国が日本に対して、当時日本が中国を侵略したような態度を取るとは絶対に信じない。彼らは70年の経験により、中国人の日本人戦犯の改造、在中日本人への優遇、戦争賠償の放棄、民間友好促進の偉大なる胸襟を知っているからだ。
日本人には弱点があるが、重大な利益・道義・生存が脅かされた場合、彼らの良知・意志・力が引き出されることだろう。集団的自衛権の解禁により、日本の政治情勢は新たな段階に入る可能性がある。安倍首相が火遊びをし、日本社会の矛盾と衝突に火をつけ、日本社会の政治的・精神的分裂を表面化させるという段階だ。これはフィフティ・フィフティのギャンブルではなく、平和・安全・安定の生活を求める大多数の国民と、少数の保守勢力の衝突だ。中国にとって、これは有利な情勢だ。中日関係が悪化してから数年が経つが、日本の多数の国民と国際社会が安倍政権を強く疑問視し、日本政府に対して中国などの関連国との関係を改善するよう求めるのはこれが初めてだ。中国はこのチャンスをつかみ、行動を起こすべきだ。(庚欣 道紀忠華シンクタンクの首席研究員)
「中国網日本語版(チャイナネット)」2014年7月22日