日本人の2人の人質がイスラム国によって斬首された悪夢は、今もなお日本社会に暗い影を落としており、日本の安保政策の分水嶺になった。安倍晋三首相は3日、海外の大使館の防衛駐在武官を増員する指示を出し、中東における情報収集能力を強化すると同時に、「国際テロ対策推進本部」を設置した。環球時報が伝えた。
安倍首相は日本の海外における軍事的存在感を高めるため人質事件を利用し、平和憲法の改正と海外派兵の制限の解除を加速しようとしている。しかし人質事件の処理方法については、国内から激しい批判を浴びている。大多数の日本人は安倍首相の手法により、日本のアジアにおけるイメージが損なわれることを懸念している。
ニューヨーク・タイムズは、「日本にとって、今回の人質事件は分水嶺かもしれない。日本はこれまで長期に渡り、欧米諸国が受けてきたテロの暴行の脅威は自国と関係がないと思っていたが、今や悪夢から醒め、他人のふりはできないことを自覚し始めた。海外には約150人の日本人がいるのだ」と論じた。
日本の多くのメディアは、安倍政権がテロ対策を強化する一方で、国会で「自衛隊の海外出兵を恒久化」させる法案を可決しようとしていることを懸念している。朝日新聞は、安倍首相が米国主導の「有志連合」との間合いの取り方に気を使っているのは、上述した恒久法が日本に悪影響をもたらすことを懸念しているためだと分析した。北海道新聞は社説の中で、テロ対策を「新安保法」の口実にしてはならないと主張した。これは安倍政権が可決しようとしている「新安保法」が、海外での武力行使を禁じる憲法9条の内容と抵触するからだ。民主党などの野党も、安倍首相が「新安保法」を発議することに断固反対している。
英デイリー・テレグラフは、「安倍首相は強気の姿勢で反論し、人質事件を日本の海外における軍事的影響力を拡大するための口実にしようとしているが、人質事件の処理方法については、国内から激しい批判を浴びている」と報じた。英フィナンシャル・タイムズは、「人質事件は、日本の海外における影響力と軍事力を拡大しようとする安倍首相の取り組みに、利益と弊害をもたらした。これは海外派兵の口実になるが、人質救出失敗は海外での活動の妨げになる」と論じた。日本の一部のアナリストは、安倍首相が人質事件の「政治的殺傷力」を低く評価しており、有権者の政治に対する信頼に影響を及ぼすと分析した。