マレーシア海軍のスコルペーヌ級潜水艦
▽競って潜水艦の購入計画、今度は対潜水艦兵器
潜水艦を導入する東南アジアの国が増え、今度は対潜水艦が同地域の海軍がよく口にする言葉となっている。米航空専門誌エビエーション・ウィークによると、シンガポールで今月開かれたアジア最大の海軍兵器展示会(IMDEX)で、東南アジア各国の海軍担当官が対潜水艦ヘリコプターに強い興味を示していた。東南アジアの潜水艦購入ブームが対潜戦にまで拡大しようとしている。
▽潜水艦ブーム
南中国海問題において、中国政府は一貫して「論争は棚上げし、共同開発」する政策を取り続けている。これは中国側の問題解決に向けた誠意と衝突回避の善意の現れであるにもかかわらず、東南アジア諸国は南中国海の天然ガスや石油資源を分不相応にねらい、海軍拡充を始めている。そして、隠蔽性と殺傷力の高い潜水艦に目をつけた。
東南アジアの中でもシンがポールはずいぶん前から先進的な潜水艦を保有している。90年代中後期にスウェーデンからチャレンジャー級潜水艦を4隻購入し、東南アジアで初めてAIP(非大気依存推進)潜水艦を装備する国となった。
マレーシア海軍はフランスからスコルペーヌ級潜水艦を2隻購入、いずれも引渡しが完了している。そのうちのKDツンク・アブドウル・ラーマン号が昨年7月末に南中国海沖で対艦ミサイル「エグゾゼ」の発射テストを行い、「潜水艦競争」を煽った。
ベトナム、タイ、インドネシア、フィリピンといった隣国も艦艇部隊の整備に積極的だ。フィリピンの報道官は「他国がいずれも潜水艦を装備した。われわれもこの地域で対等な力を保持する必要がある。将来、衝突が起きた際に、潜水艦は非常に有効な武器となる」と語った。これはおそらく東南アジア各国の海軍共通の心境だろう。
▽軍拡競争の悪循環に陥る
東南アジア各国海軍の潜水艦計画が進行するにともない、「潜水艦攻防戦」が益々激しくなってきている。もともと東南アジアの海軍の規模は大きくないため、少数が数隻の潜水艦で戦闘力を数倍にアップすると、すぐに他国が追従する状況に極めて陥りやすい。ベトナム、タイ、インドネシアなどの海軍が購入した潜水艦の数がほぼ同じであることからもこの点が証明されている。先進的な潜水艦が徐々に東南アジア各国の海軍に装備され、突然一部の国が自国の対潜戦力が弱い、或いはゼロだと気づくと、今度は対潜武器・装備の購入競争が始まる。そして潜水艦競争の次は対潜武器といった軍拡競争の悪循環に陥る可能性がある。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2011年6月1日