隣り合っている青城山と都江堰は四川省成都市の西部にある灌県に位置し、中国の国家レベルの名勝旧跡である。青城山は道教の発祥の地として有名であり、「洞天第五宝仙九室之天」と呼ばれ、天下第五の名山となっている。背後に積いだいた岷山をひかえ、西側は四川省西部平原に面している。大面山を主峰、天師洞を要衝として、周りは120キロほどある。この山には36の峰、72の洞窟、108カ所の観光スポットがある。重なり合った山々の中に森や青い竹が長年に生い茂げり、峰がうねるように連なり、山全体が囲まれた城に見えるので、「青城」と名付けられた。青城山の最もユニークな所はその静寂さにある。静かな道教の寺院と庭園、香ばしい山の花、奥深くて暗い岩穴と洞窟、ユニークな手法で彫られた塑像、人々に思いを巡らせる泉、物事を静かに語りかけているような「対聯」、曲がりくねった道など、古人に「青城の静寂さは天下第一」と言われるには訳がある。
都江堰水利施設は中国古代の水利プロジェクトの中のさんぜんと輝く珠玉と言える。2200年前に築造されたこの施設はいまでも人々に幸福をもたらしている。都江堰は灌県の西側にある玉塁山の麓にあり、この一帯は成都平原西北部の頂きである。大小さまざまな支流が集まる岷江はここで成都平原に注ぐことになる。東の岷江は玉塁山でさえぎられ、成都平原の東へと注ぐことができなかったので、農業の発展に大きな影響をもたらしていた。戦国時代の蜀郡の長官李氷は人びとの苦しみに心を寄せ、岷江両岸のあらゆる所に足を伸ばし、山の地勢や川の流れを調べた後、紀元前250年頃から人々を率いて岷江の激流の中で水量調節の堰堤を築造したり、平野に水路を掘削して、岷江の水を引いて田畑を灌漑したりし、成都平原は「天府の国」と呼ばれる肥沃で物産の豊かな所になった。この大きなプロジェクトは科学的で創造的なもので、山川と平野をつなげる要衝の地に築造され、堰堤を利用せずに水を引く建築様式を取り入れた。主に「分水魚嘴」(水量調節の堰堤)、「飛沙堰」(洪水をさばく排水路)、「宝瓶口」(水を引く入り口)など3大施設から成り立っている。この3大施設が灌漑や洪水を防ぐなど多くの役割を果たし、互いに依存・調節・制約しあい、配置が合理的で綿密に設計された水利施設となっている。都江堰地域は風景も美しく旧跡も多く、いまでは大規模な古代水利施設やきれいな山川、美しい庭園、人々の胸を打つ伝説、さらに伏竜観、二王廟、鉄のつり橋によって、国内外の観光客を引き付けている。2000年に青城山と都江堰はユネスコによって『世界の文化遺産』に登録された。
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