莫 高 窟


  甘粛省敦煌県の南東にある鳴沙山の東側の断崖に、いろいろな石窟が曲りくねった長い道によって繋がるようになっている。洞窟内の周りの壁に仏教にちなんだ壁画や色付けの塑像でいっぱいだ。ここは世界最大の仏教芸術の宝庫――莫高窟である。敦煌はシルクロードの交通ルートの要所に位置し、かつてはにぎやかな町であった。貿易が盛んで、寺院あちこちにあったのだ。石窟の掘削は、366年に始まり、十六国時代から元王朝まで、10の王朝にわたって、1500年あまり続けられた。風や砂などに浸蝕されはしたものの、今でもまだ洞窟750と、壁画45000平方メートル、色付けの塑像3000体あまりがあり、唐、宋の時期の木造建築物5棟が保存されている。その中で、数が一番多く、内容的に最も豊かなものは壁画である。題材の範囲が最も広いのは尊像の絵である。つまり、人々が祭っている仏や、菩薩、天王及び説法像などである。そのほか、仏教にちなんだ物語や、経変画、史跡、供養する人たちの画像、及び昔の民族の神話を題材としたさまざまな装飾の図案がある。壁画から、帝王の巡幸や、農耕、漁労と狩猟、製鉄や醸造業、婚礼と葬儀、商業のやりとり、使節の往来、楽器の演奏や、歌ったり、踊ったりしている場面……人間社会の万事万物を、いろいろと見て取ることができる。1900年に、経文を保存した石窟が発見され、その中から手書きの文献四、五万冊とさまざまな文物が見つかった。例えば、千枚以上の絹絵や、木版画、刺繍、数多くの書があった。しかし、数多くの珍しい文物は帝国主義の文化侵略者に盗まれ、ロンドンや、パリ、モスクワ、東京などへ運ばれていった。奇異な魅力に富む莫高窟は、1987年に、国連のユネスコによって『世界の文化遺産』に登録された。

 

 

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